ノルマが厳しいときのストレス対処法|営業成績を上げる7つのステップ

このままではノルマが達成できない…。と不安や焦りを感じている営業マンは少なくないでしょう。数字が出ない日々が続くと、精神的なプレッシャーは日に日に大きくなっていきます。

営業は「サイエンス」であり、時流や数字、心理学を駆使して顧客の意思決定を促す高度なコミュニケーション技術です。私は営業プレイヤーとして15年、マネージャーとしても15年の計30年間、営業一筋で生きてきました。その経験から言えることは、ノルマが厳しい状況でも、正しいアプローチを知っていれば必ず道は開けるということです。

厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活に関して強いストレスを感じている労働者の割合は82.7%に達しています。特に「仕事の失敗、責任の発生等」がストレスの主な要因として39.7%を占めています。営業職ではこの数字はさらに高いかもしれません。

しかし、ノルマによるプレッシャーに対処する方法を知り、それを正しく実践することで、このような状況を打破することは十分に可能です。本記事では、即効性のある対処法から長期的な解決策まで、営業のプロフェッショナルとして培った知見をもとに、具体的なアドバイスをお伝えしていきます。

この記事で分かること
  • ノルマが厳しいときのすぐに実践できる5つのストレス対処法
  • 営業のプロが実践している「ノルマ達成」のための本質的アプローチ
  • 長期的にストレスに強い営業マンになるための7つのステップ
  • どん底の状態からでも復活できる実践的なテクニック

目次

1.ノルマが厳しいときのストレス対処法:即効性のある5つの方法

ノルマによるプレッシャーで苦しんでいるとき、まず必要なのは即効性のある対処法です。30年間の営業経験の中で培った、最も効果的な5つの方法をお伝えします。

1-1.明確な優先順位をつけ、小さな目標に分解する

大きなノルマに直面すると、それ自体がプレッシャーとなり行動が鈍ります。そんなとき重要なのは、ノルマを達成可能な小さな目標に分解することです。

例えば、月間500万円の売上目標なら、週ごとに125万円、1日あたり約6万円と分解します。さらに、それを達成するための活動量(アポイント数や提案件数)に落とし込みましょう。小さな目標を一つずつクリアしていくことで、達成感を得ながら前進できます。

優先順位については、成約確度が高い案件や、早期に結果が出そうな活動に集中することが重要です。すべての案件を均等に扱うのではなく、いま取り組むべきことを明確にして集中的に対応することで、成果につながる確率が高まります。

1-2.成功している営業マンの行動パターンを真似る

営業で結果を出すための最短ルートは、「今売れている営業マン」の行動を真似ることです。これは単なる模倣ではなく、成功パターンの習得と考えてください。

実際に私も若手の頃、社内トップの営業マンの話し方、資料の見せ方、質問の仕方まで徹底的に観察し、真似ることで急速に成果を上げることができました。特に初回接客でのクロージング(成約)に至るまでのプロセスを学ぶことで、営業効率は劇的に向上します。

自分なりのやり方にこだわる前に、まずは先輩や同僚の成功事例を素直に学ぶ姿勢が重要です。そして、そのエッセンスを自分のスタイルに取り入れていくことで、独自の強みを構築していきましょう。

1-3.ルーティンワークの構築と徹底

ノルマ達成のプレッシャーにさらされると、何から手をつけるべきか混乱することがあります。そんなときこそ、日々のルーティンワークが救いになるのです。

具体的には、以下のような日常業務の流れを固定化しましょう。

  • 朝:前日の振り返りと今日の計画立案(30分)
  • 午前:新規アポイント獲得のための活動
  • 昼休み:軽い運動や深呼吸でリフレッシュ
  • 午後:商談や提案活動
  • 夕方:当日の振り返りと翌日の準備

以下に、より詳細な「営業マンの理想的な1日の流れ」を示します。このようなルーティンを確立すると、どんな状況でも安定した行動ができるようになります。

営業マンの理想的な1日の流れ

重要なのは、成果が出ない時期でもこのルーティンを崩さないことです。安定した行動があれば、精神的な支えになるだけでなく、長期的に見れば必ず結果につながります。ルーティンワークは、不安定な状況でも安定した成果を生む基盤となるのです。

1-4.感情をコントロールするための具体的テクニック

営業職では感情の波が激しく、特にノルマが厳しい時期は落ち込みやすくなります。そんなときは、感情をコントロールするテクニックが非常に役立ちます。

最も効果的なのは「3秒ルール」です。ネガティブな感情が湧いてきたら、3秒数えてから反応します。この短い間に、「この感情は一時的なものだ」と客観視する余裕が生まれ、冷静な判断ができるようになります。

また、「感情日記」をつけることも効果的です。日々の感情の変化を記録することで、自分のパターンを認識し、コントロールしやすくなります。例えば、「断られた後に30分ほど落ち込むが、その後は回復する」というパターンを知っていれば、断られた瞬間も「今は一時的に落ち込んでいるだけだ」と客観的に捉えられるようになります。

1-5.上司への効果的な相談・報告の仕方

ノルマ達成が厳しい状況では、一人で抱え込まずに上司に相談することも重要です。厚生労働省の調査によると、ストレスに関する相談相手として男性は「上司」を選ぶ割合が最も高く(68.9%)、適切な相談は精神的負担の軽減につながります。

ただし、単に愚痴をこぼすのではなく、建設的な相談の仕方を意識しましょう。具体的には以下のポイントが効果的です。

まず、現状と課題を簡潔に説明します。次に、自分で考えた対策案を提示します。そして最後に、上司に求めるアドバイスや支援を明確に伝えます。このアプローチは「報告・連絡・相談」の基本ですが、特にノルマ達成が難しい状況では徹底すべきです。

このような相談の仕方をすれば、上司も具体的なアドバイスがしやすくなり、結果として実践的な解決策を得られる可能性が高まります。また、自ら考える姿勢を示すことで、上司からの信頼も獲得できるでしょう。

2.営業のプロが教える「ノルマ達成」のための本質的アプローチ

即効性のある対処法を実践しながら、同時に本質的なアプローチも身につけることが、真の営業力向上につながります。ここからは、短期的な成果だけでなく、長期的に安定して結果を出し続けるための考え方をお伝えします。

2-1.「ノルマ」をプレッシャーではなく成長の機会に変える考え方

多くの営業マンは「ノルマ」をプレッシャーとして捉えがちですが、ノルマは自分を成長させるための指標でもあります。視点を変えることで、同じノルマでもその受け止め方は大きく変わります。

例えば、月間目標を「会社から課された厳しいノルマ」と捉えるのではなく、「自分の営業スキルを測る1つの指標」と考えてみましょう。目標に届かなかった月があっても、「何が足りなかったのか」「どうすれば改善できるか」という学びの機会と捉えれば、次月への建設的なアクションにつながります。

私の経験から言えば、成功している営業マンほど、ノルマを「敵」ではなく「成長のためのトレーニング」と捉えていることが多いです。この心構えの転換だけでも、日々の営業活動へのアプローチが変わり、結果的にストレスの軽減にもつながります。

2-2.ノルマを達成している営業マンに共通する3つの特徴

長年営業チームを率いてきた経験から、ノルマを安定して達成している営業マンには共通する特徴があることがわかりました。その本質は以下の3つに集約されます。

ノルマを達成している営業マンの3つの特徴
  1. 「顧客視点」で考え、真に価値ある提案をしている
  2. 数字よりも「活動量」と「質」にフォーカスしている
  3. 失敗を恐れず、常に新しいアプローチを試している

これらの特徴について、成果を出している営業マンとそうでない営業マンの違いを見てみましょう。

(ここに「成功する営業マンと平均的な営業マンの特徴比較表」を挿入)

▼成功する営業マンと平均的な営業マンの特徴比較
特徴 成果を出す営業マン 平均的な営業マン
顧客視点 顧客の課題解決を最優先し、商品説明より先にニーズを深掘りする 自社商品の特徴や価格を中心に説明し、売りたい商品から提案を始める
フォーカス 1日のアポイント数や提案の質など、自分でコントロールできる行動指標に集中 売上目標や達成率など、結果の数字にとらわれ、日々の変動に一喜一憂する
失敗への姿勢 失敗を学びの機会と捉え、振り返りと改善を繰り返す 失敗を避けようとし、成功体験のある方法だけを繰り返す

顧客視点で考え、真に価値ある提案をしている

ノルマ達成に焦ると「売りたい商品」を中心に考えがちですが、成果を出している営業マンは常に「顧客が何を求めているか」を第一に考えています。顧客のニーズを深く理解し、真に価値ある提案をすることで、自然と成約率が上がります。

例えば、商品の機能や価格だけでなく、その商品が顧客の生活や業務にどのような変化をもたらすのかを具体的に示す営業マンは、高い成約率を誇ります。このアプローチは短期的なノルマ達成だけでなく、リピート率の向上にもつながります。

数字よりも「活動量」と「質」にフォーカスしている

成果を出している営業マンは、売上という「結果」ではなく、その結果を生み出す「活動量」と「質」に注目しています。例えば、1日のアポイント数、提案件数、フォローアップの頻度などの活動指標を自ら設定し、それを達成することに集中しています。

結果を直接コントロールすることはできませんが、活動量と質は自分でコントロールできます。適切な活動を続ければ、結果は後からついてくるという信念を持って日々の業務に取り組むことが重要です。

失敗を恐れず、常に新しいアプローチを試している

成功している営業マンは失敗を恐れません。むしろ、失敗から学び、常に新しいアプローチを試すことで成長しています。「この方法がうまくいかなかった」という経験は、次の成功への貴重な情報となります。

特に重要なのは、失敗した際の振り返りです。なぜうまくいかなかったのか、次回はどうすればよいのかを具体的に考え、実践することで、着実にスキルアップしていきます。

2-3.自己肯定感を保ちながら結果を出すマインドセット

ノルマに追われると自己肯定感が下がりがちですが、高い自己肯定感こそが安定した成果を生み出す源泉です。成功している営業マンが実践している自己肯定感を保つマインドセットを紹介します。

まず重要なのは、「自分の価値」と「営業成績」を分けて考えることです。営業成績は一時的に下がることがあっても、あなた自身の価値が下がるわけではありません。むしろ、成績が下がっている時こそ、自分の過去の成功や強みを思い出し、自信を取り戻すことが大切です。

また、「完璧主義」から脱却することも重要です。すべての案件で成功することは不可能であり、一定の失敗は成長過程で必要なものと捉えましょう。「今日はうまくいかなかったが、また明日頑張ろう」という柔軟な姿勢が、長期的な成功につながります。

さらに、日々の小さな成功に目を向けることも効果的です。大きな成約だけでなく、良い反応を得られた商談や、新しい知識を得られたミーティングなど、日常の小さな成功体験を意識的に記録し、振り返ることで自己肯定感を維持できます。

3.長期的にストレスに強い営業マンになるための7つのステップ

これまでは即効性のある対処法と本質的なアプローチについて見てきましたが、営業職で長く活躍するためには、ストレスに強い体質を作ることも重要です。ここからは、営業マンとして長期的に成果を上げ続けるための7つのステップを紹介します。これらのステップは、私が30年間の営業キャリアの中で実践し、多くの部下にも指導してきた内容です。

3-1.【Step1】営業活動の見える化で不安を取り除く

ノルマ達成に対する不安の多くは、「何をどれだけやれば目標に届くのか分からない」という不確実性から生まれます。そこで最初のステップとして、営業活動を徹底的に「見える化」することが有効です。

具体的には、以下のような項目を数値化し、記録していきましょう。

  • 日々の活動量(アポイント数、訪問数、提案数など)
  • 成果指標(成約数、売上額、単価など)
  • 顧客の反応(前向きな返答、質問の数、次回アポの獲得など)
  • 時間の使い方(商談時間、移動時間、資料作成時間など)

これらの情報を体系的に記録するための「営業活動記録シート」の例を以下に示します。このようなシートを活用することで、自分の活動と成果の関係性が明確になります。

▼営業活動記録シート(週間版)
活動指標 目標 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜
電話件数 20件/日 22件 18件 23件 19件 21件
アポイント獲得 3件/日 2件 4件 3件 2件 4件
商談数 4件/日 3件 5件 4件 4件 3件
提案書作成 2件/日 1件 3件 2件 2件 1件
成約件数 5件/週 1件 0件 2件 1件 2件
売上金額 100万円/週 20万円 0万円 35万円 15万円 45万円
※この表を2-3週間継続して記録することで、どの活動が成果につながっているかが明確になります

このような記録を分析することで、例えば「アポイント10件で平均2件の成約、平均売上50万円」という関係が分かれば、月間目標500万円を達成するには「アポイント100件」が必要だと具体的に把握できます。

この「見える化」によって、漠然とした不安は具体的な行動目標に変わり、心理的な負担が大きく軽減されます。また、数字を追うことで自分の強みや弱みも明確になり、効率的な改善が可能になります。

3-2.【Step2】自分に合った営業スタイルを見つける

営業には様々なスタイルがあり、すべての人に同じアプローチが合うわけではありません。第二のステップは、自分の性格や強みを活かした独自の営業スタイルを確立することです。

例えば、社交的で話すことが得意な人は対面での商談を中心にした営業スタイル、分析力や文章力に優れている人はデータや資料を活用した提案型の営業スタイルが有効かもしれません。大切なのは、他人のスタイルを無理に真似するのではなく、自分の強みを最大限に活かすアプローチを見つけることです。

自分に合ったスタイルで営業活動を行うと、無理なく自然な状態で力を発揮できるため、ストレスが減少し持続可能な成果につながります。まずは自分の強みを書き出し、それを活かせる営業スタイルを探してみましょう。

3-3.【Step3】強みを活かした顧客アプローチを確立する

自分のスタイルが明確になったら、次はそのスタイルを活かした顧客へのアプローチ方法を確立します。これにより、商談の成功率が高まるだけでなく、自分の得意分野で勝負できるので自信にもつながります。

たとえば、分析力を活かしたアプローチであれば、事前に顧客の課題を徹底的に調査し、具体的な数値やデータを用いた提案書を作成します。対人スキルが強みなら、顧客との信頼関係構築を重視し、初回からの丁寧なヒアリングと共感的な対応を心がけます。

重要なのは、このアプローチを単発ではなく「型」として確立し、繰り返し実践することです。型が身につくことで余計な緊張やストレスなく商談に臨めるようになり、結果的に成約率も向上します。

3-4.【Step4】健全な目標設定とセルフマネジメント

営業職でストレスを感じやすい原因の一つは、無理な目標設定とそれに伴う自己管理の乱れです。第四のステップでは、達成可能でありながらも成長を促す健全な目標設定と、それを実現するためのセルフマネジメントを確立します。

目標設定では「ストレッチ」と「現実性」のバランスが重要です。現状より10〜20%高い目標は、モチベーションを高めつつも達成可能な範囲といえます。また、数値目標だけでなく、「新しい提案方法を3件試す」といったプロセス目標も取り入れると、成長実感が得られます。

セルフマネジメントでは、仕事とプライベートのメリハリをつけることが大切です。営業は熱中しやすい職種ですが、休息なしの継続は長期的に見れば逆効果です。集中して働く時間と、完全に仕事から離れる時間を明確に分けましょう。

3-5.【Step5】精神的・肉体的な回復力を高める習慣化

営業職は精神的にも肉体的にも消耗が激しいため、回復力を高める習慣を意識的に取り入れることが長期的な成功の鍵となります。この習慣化は、ただの「気分転換」ではなく、パフォーマンスを最大化するための重要な投資と考えましょう。

効果的な回復習慣には以下のようなものがあります。

営業パフォーマンスを高める回復習慣
  • 精神的回復:瞑想、マインドフルネス、趣味の時間確保
  • 肉体的回復:質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動
  • 社会的回復:家族や友人との時間、営業以外のコミュニティ参加

精神的回復:瞑想、マインドフルネス、趣味の時間確保

精神的な回復には、瞑想やマインドフルネスの実践が効果的です。1日10分の瞑想を習慣化するだけでも、ストレス耐性が大きく向上すると言われています。また、趣味や家族との時間など、仕事から完全に離れる「オフ」の時間を確保することも必要です。

肉体的回復:質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動

肉体的な回復には、適切な睡眠、栄養バランスの良い食事、定期的な運動が基本となります。特に睡眠は認知機能や判断力に直接影響するため、7〜8時間の質の良い睡眠を確保することを優先しましょう。

社会的回復:家族や友人との時間、営業以外のコミュニティ参加

社会的なつながりも重要な回復要素です。仕事以外の人間関係を大切にし、異なる視点や価値観に触れることで、精神的な柔軟性が高まります。営業だけの人間関係に閉じこもらず、多様なコミュニティに所属することで、ストレス耐性も向上します。

3-6.【Step6】互いに高め合える仲間づくり

営業は個人プレーに見えますが、良い仲間の存在が業績や精神状態に大きな影響を与えることを忘れてはいけません。第六のステップでは、互いに高め合える関係を職場内外に築くことを目指します。

具体的には、同じ目標を持つ同僚との定期的な情報交換会、成功事例や失敗談を共有する場の設定、時には競争しながらも互いの成長を喜び合える関係の構築などが考えられます。こうした仲間がいると、困難な時期も一人で抱え込まず、前向きな姿勢を維持しやすくなります。

厚生労働省の調査でも、ストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は94.9%に達しており、良好な人間関係がメンタルヘルスに重要な役割を果たしていることが示されています。ただし相談する相手は、愚痴を言い合うだけでなく、互いに建設的なアドバイスができる関係が理想です。

3-7.【Step7】営業スキル向上の継続的取り組み

最後のステップとして、営業スキルを継続的に向上させる取り組みを習慣化します。スキルが向上すれば自信が生まれ、自信があればストレスへの耐性も高まるという好循環が生まれます。

具体的には、営業関連の書籍を定期的に読む、セミナーや研修に積極的に参加する、先輩や上司からのフィードバックを積極的に求めるなどの取り組みが効果的です。特に重要なのは、学んだことを実践し、その結果を振り返るというサイクルを回し続けることです。

私自身、30年の営業キャリアの中で700冊以上のビジネス書を読み、常に新しい知識やテクニックを取り入れてきました。そのたびに自分の営業スタイルは進化し、成果も向上していきました。「学び続ける」という姿勢こそが、長期的な営業成功の最大の秘訣なのです。

4.今すぐ始められる「心のリセット」と「モチベーション回復」のための実践法

ここまで長期的な視点でのアプローチを見てきましたが、現在のあなたはおそらく「今すぐ心を軽くしたい」という思いもあるでしょう。この章では、営業活動の中で誰もが経験する「心が折れそうな瞬間」を乗り越えるための実践的な方法を紹介します。

4-1.営業ノルマを達成する3つの心の持ち方

ノルマの達成状況が思わしくない時期は、誰しも「もうダメかも」と思ってしまうものです。そんな時こそ、心の持ち方を意識的に変える必要があります。ここでは、営業成績が低迷した時期に即効性のある3つの心の持ち方を紹介します。

営業ノルマを達成するための3つの心の持ち方
  1. 「今日一日」に集中する
  2. 「結果」ではなく「行動」を評価する
  3. 「大丈夫、これも経験」と言い聞かせる

【「今日一日」に集中する】

ノルマが未達の状態だと、「あと〇〇万円足りない」という差分に焦点が当たりがちです。しかし、その大きな数字に圧倒されると行動が鈍ります。そこで意識すべきは、「今日一日、何をすべきか」という足元の行動です。

例えば「今日は5件のアポイントを取る」「今日は3社に提案資料を送る」など、具体的で達成可能な目標を立て、それに集中します。日々の小さな行動の積み重ねが、最終的には大きなノルマの達成につながるのです。

【「結果」ではなく「行動」を評価する】

営業成績は様々な要因に左右されるため、短期的には努力が必ずしも結果に結びつかないことがあります。そんな時は、結果ではなく「行動」の質と量を自己評価の基準にしましょう。

「今日は成約できなかったが、10社に質の高いアプローチができた」「断られたが、新しい切り口での提案を試せた」など、行動自体に価値を見出すことで、モチベーションを維持できます。

【「大丈夫、これも経験」と言い聞かせる】

どんな困難も、後から振り返れば成長のための貴重な経験になります。苦しい時こそ「大丈夫、これも経験」と自分に言い聞かせることで、心の余裕が生まれます。

実際、私の営業キャリアの中でも、最も苦しかった時期に学んだことが、後の大きな成功につながった経験が何度もあります。「今」ではなく「将来」の視点で現状を捉えることで、心の持ちようが変わるのです。

4-2.行き詰まったときのリフレッシュ方法

どれだけ努力していても、時には完全に行き詰まり、思考がループする状態に陥ることがあります。そんな時は、意識的に「切り替え」を行うことが重要です。

効果的なリフレッシュ方法は以下の通りです。

営業活動に行き詰まった時の効果的なリフレッシュ法
  • 環境の変化:場所や姿勢を変える
  • 時間の区切り:ポモドーロ・テクニックの活用
  • 別の活動への切り替え:深呼吸、音楽鑑賞、軽い運動

環境の変化:場所や姿勢を変える

最も効果的なのは「環境の変化」です。例えば、オフィスを離れて15分だけ外を歩く、普段と違うカフェで資料を見直す、立ち仕事に切り替えるなど、物理的な環境を変えることで思考パターンも変化します。

時間の区切り:ポモドーロ・テクニックの活用

「時間の区切り」も効果的です。「今から30分だけ集中し、その後10分休憩する」といったように、明確な時間枠を設けることで集中力が増します。ポモドーロ・テクニックと呼ばれるこの方法は、多くの営業トップが活用しています。

別の活動への切り替え:深呼吸、音楽鑑賞、軽い運動

さらに、完全に異なる活動に一時的に切り替えることも有効です。例えば、5分間だけ深呼吸に集中する、趣味に関する記事を読む、心地よい音楽を聴くなど、仕事とは全く関係のないことに意識を向けることで、脳がリフレッシュされます。

こうした「切り替え」は時間の無駄に思えるかもしれませんが、実際には生産性を大きく向上させる効果があります。特に行き詰まりを感じた時こそ、意識的にリフレッシュする時間を取りましょう。

4-3.30年間の営業経験で培った「どん底からの復活」テクニック

30年の営業キャリアの中で、私自身も何度も「どん底」を経験してきました。そんな時に私が実践し、多くの部下にも伝授してきた「復活」のテクニックを紹介します。

最も効果的なのは「成功体験の再体験」です。過去の成功体験を鮮明に思い出し、その時の感情や状況を詳細に思い返します。「あの時はこういう提案をして、顧客はこう反応した」「成約した瞬間、こんな気持ちだった」など、できるだけ具体的に思い出すことで、成功時の感覚や自信を取り戻せます。

次に「小さな成功の創出」です。大きな成果が出ない時こそ、あえて達成しやすい小さな目標を設定し、その達成感で自信を回復します。例えば「5社に電話をする」「1つの新しい提案資料を作る」など、確実に達成できる目標から始め、少しずつハードルを上げていきます。

最後に「視点の切り替え」です。「なぜうまくいかないのか」という原因分析から、「次に何をすべきか」という未来志向の思考に切り替えます。原因分析は一定時間で区切り、その後は具体的なアクションプランの作成に集中することで、前向きな姿勢を取り戻せます。

どんな優秀な営業マンでも、時には成績が下がる時期があります。重要なのは、そこから立ち直る力を持っているかどうかです。これらのテクニックを実践することで、どんな状況からも復活できる「レジリエンス(回復力)」を身につけることができるでしょう。

まとめ:ノルマを味方につけて営業人生を豊かにする

本記事では、ノルマが厳しい時期のストレス対処法から、長期的にストレスに強い営業マンになるための方法まで、様々な角度から解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。

営業という仕事は、時にストレスを感じることがあっても、本質的には自分自身の成長や人生の豊かさにつながる素晴らしい職業です。私自身、30年間営業一筋で生きてきて、その価値を実感しています。

ノルマやプレッシャーは、見方を変えれば自分を鍛え、成長させるための絶好の機会です。短期的には「即効性のある5つの方法」を実践し、中長期的には「本質的アプローチ」や「7つのステップ」を身につけることで、営業職でのストレスを大幅に軽減できるでしょう。

また、「心のリセット」と「モチベーション回復」のテクニックを習得すれば、どんな逆境からも立ち直る力が身につきます。営業成績の浮き沈みは誰にでもあるものですが、その浮き沈みを乗り越える経験こそが、あなたを一流の営業マンへと成長させるのです。

最後に、営業はビジネスを通じて人生を豊かにする職業だという点を強調したいと思います。数字を追うだけでなく、顧客の課題解決に貢献し、自分自身も成長していく。そんな充実した営業人生を送るための第一歩として、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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