クロージング最後に「家族に相談しないと」と言われた時の対処法完全版

「家族に相談しないと決められないんです…」

という言葉を聞いた瞬間、これまでの商談の流れが止まってしまい、どのように対応していいのか分からなくなってしまうことがあるのではないでしょうか。

私も営業として30年間、数多くの商談を経験してきましたが、特に若手の頃は、この言葉に対して適切な対応ができずに悩んだ経験があります。

しかし、これは決して珍しいことではありません。厚生労働省が令和5年に発表したデータでも、重要な意思決定の場面で46.1%もの人が家族に相談すると回答しており、むしろ自然な反応だと言えます。

問題なのは、この言葉への対応の仕方です。対応を間違えると商談が止まってしまい、そのまま立ち消えになってしまうこともあります。一方で、適切な対応ができれば、むしろ家族の存在を味方につけて成約率を高められる可能性も秘めています。

今回は、私が30年間の営業経験と数百名の営業マンを指導してきた経験から得た、「家族に相談します」と言われた時の具体的な対応方法についてお伝えしていきます。

この記事で分かること
  • 家族に相談と言われた瞬間の具体的な対応手順
  • その場でクロージングまで持っていくための5つのステップ
  • 家族説明用の資料作成のポイントと渡し方
  • 家族への説明フォローの具体的な方法
  • 家族に相談と言われないための事前対策と準備

1.【図解】家族に相談と言われた時の効果的な対応手順

「家族に相談します」という言葉を受けた時、最も重要なのは最初の対応です。この最初の対応を誤ると、そこで商談が止まってしまい、その後どんなにフォローしても成約まで持っていくことが難しくなります。

まずは、「家族に相談します」と言われた時の基本的な対応の流れを図解で確認していきましょう。

家族に相談と言われた時の対応フロー

1-1.家族に相談と言われた瞬間の3つの切り返し

家族に相談と言われた瞬間、やってはいけないのが「分かりました、ご家族と相談してください」と安易に承諾することです。これでは商談の主導権を完全に失ってしまいます。

まずは以下の3つの切り返しを、状況に応じて使い分けていきましょう。

家族に相談と言われた時の3つの切り返し
  • 「ご家族のどなたに相談されるご予定でしょうか?」
  • 「ご家族の方も一緒にお話をうかがえると、より具体的なご提案ができるのですが」
  • 「では、ご家族の方にご説明される際に必要な資料を、私の方でご用意させていただきます」

それぞれ詳しく解説していきます。

「ご家族のどなたに相談されるご予定でしょうか?」

この質問から入ることで、誰に相談するのかが明確になります。また、本当に家族に相談する意思があるのか、それとも単なる言い逃れなのかを見極めることもできます。

例えば「妻に相談します」という回答があれば、次は「奥様は、どのようなことを特に気にされると思われますか?」と質問を深めていきます。これにより、家族が気にするポイントを事前に把握でき、より効果的な提案が可能になります。

「ご家族の方も一緒にお話をうかがえると、より具体的なご提案ができるのですが」

家族への説明を顧客任せにするのではなく、プロとして直接説明させていただく姿勢を示します。これにより、情報の伝達ミスを防ぎ、より正確な提案内容の理解を促すことができます。

「では、ご家族の方にご説明される際に必要な資料を、私の方でご用意させていただきます」

家族への説明をサポートする具体的な行動を示すことで、次のステップへと商談を進められます。説明用の資料を用意することで、顧客が家族に説明する際の不安も軽減できます。

しかし、ここで注意したいのが言葉遣いと態度です。これらの切り返しを行う際は、決して強引な印象を与えないよう、あくまでも顧客の立場に立って提案する姿勢を保つことが重要です。

1-2.その場でクロージングを決める5つのステップ

前述の切り返しができたら、その流れを止めることなく、その場でクロージングまで持っていくことを目指しましょう。3つの切り返しのいずれかで反応が良かった場合、以下の5つのステップで進めていきます。

クロージングまでの5つのステップ
  • 【Step1】プロとしての責任を伝える
  • 【Step2】具体的な不安の聞き取り
  • 【Step3】資料による不安解消
  • 【Step4】メリットの具体化
  • 【Step5】決定までの道筋の明確化

順番に詳しく見ていきましょう。

【Step1】プロとしての責任を伝える

「このままご家族の方へ説明が不十分なまま持ち帰られても、かえってご心配をおかけしてしまうかもしれません」といった具合です。これにより、家族への説明を丁寧にしたいという誠実な姿勢を示すことができます。

【具体的な会話例】

営業マン

「実は、以前にもお客様から『家族に説明する時に上手く伝えられなかった』というお声をいただいたことがありまして…」

お客様

「確かに、私も説明は少し不安です」

営業マン

「ですので、プロとしての責任として、ご家族の方にも分かりやすくご説明させていただきたいのですが」

【Step2】具体的な不安の聞き取り

「ご家族の方は、どんな点を気にされると思われますか?」と質問し、家族が持つかもしれない不安や疑問を先回りして解消できる材料を集めていきます。

【具体的な会話例】

営業マン

「奥様は、どのような点を特に気にされそうですか?」

お客様

「そうですね…毎月の支払いのことは気にすると思います」

営業マン

「ありがとうございます。他にも、例えば教育費との兼ね合いなども気になるかもしれませんね」

【Step3】資料による不安解消

聞き取った不安に対して、具体的な数字やデータを示しながら説明します。たとえば返済計画であれば、毎月の支払い額や総支払額を図やグラフを使って分かりやすく説明します。

【具体的な会話例】

営業マン

「では、こちらのシミュレーション表をご覧ください。毎月の支払いを10万円以内に収めた場合のプランをご用意しました」

お客様

「これなら具体的にイメージできますね」

営業マン

「さらに、教育費の積立プランも一緒に検討させていただきましょうか?」

【Step4】メリットの具体化

「この商品を選んでいただくことで、ご家族の方にもこんなメリットがあります」と、家族にとってのプラスの面を具体的に説明していきます。

【具体的な会話例】

営業マン

「このプランをお選びいただくことで、将来のお子様の教育資金も確保しながら、ご家族で快適に暮らせる住環境を手に入れることができます」

お客様

「子供の将来のことも考えると、確かにそうですね」

【Step5】決定までの道筋の明確化

「では、今日のうちに必要書類だけは準備させていただき、ご家族の方のご都合の良い時に改めてご説明に伺わせていただくのはいかがでしょうか」といった具合に、次のステップを明確に示していきます。

【具体的な会話例】

営業マン

「では、本日のうちに仮申込書だけご用意させていただき、ご家族の方とご都合の良い日時を決めていただけますでしょうか?」

お客様

「はい、妻の予定を確認してみます」

営業マン

「ありがとうございます。その際、私からもより詳しくご説明させていただきますので、ご安心ください」

これらの5つのステップは、顧客の反応を見ながら柔軟に調整していく必要があります。決して押し付けるような形ではなく、顧客と一緒に最適な選択を見つけていくという姿勢で進めることが大切です。

1-3.家族への説明をサポートする資料の渡し方

クロージングまで持っていけなかった場合でも、家族への説明をサポートする資料を適切に渡すことで、次につながる可能性を大きく高めることができます。

まず重要なのは、通常の提案資料をそのまま渡すのではなく、家族向けにカスタマイズすることです。たとえば、お子様の教育資金の準備のための商品であれば、「お子様の将来のために」というページを特別に作成します。これにより、家族全員で共有できる目的が明確になります。

また、資料を渡す際は必ず「説明の優先順位」を伝えます。

営業マン

「特にこの3点は必ずご家族の方にお伝えください」

と具体的に指示することで、顧客が家族に説明する際の負担を減らすことができます。

さらに、資料と一緒に「家族からよく出る質問とその回答」をまとめた補足資料も用意します。これにより、顧客が家族からの質問に対して自信を持って回答できるようになります。家族の不安を解消する材料を、あらかじめ顧客に渡しておくことが重要です。

資料を渡した後は、

営業マン

「では、このような形でご家族の方にご説明いただければと思います」

と、実際の説明の仕方をロールプレイング形式でお伝えします。これにより、顧客自身が家族に説明する際のイメージを明確に持つことができます。

なお、資料を渡して終わりではありません。

営業マン

「では、ご家族の方とお話しされた後、改めて私からお電話させていただいてもよろしいでしょうか」

と、次のアクションについても必ず確認しておきましょう。

このように、家族への説明をサポートする資料は、単なる情報提供の手段ではなく、成約に向けた重要なツールとして活用することが大切です。

2.家族に相談すると言われる本当の理由を理解する

これまで、家族に相談と言われた時の具体的な対応方法についてお伝えしてきました。しかし、より効果的な対応をするためには、なぜ顧客がこの言葉を口にするのか、その本質を理解する必要があります。

2-1.なぜ顧客は家族に相談すると言うのか

キャリアコンサルティング協議会の調査によると、重要な意思決定の場面で46.1%の人が「家族・親族」に相談すると回答しています。これは決して「その場しのぎの言い訳」ではなく、現代社会において極めて自然な行動なのです。

人は大きな決断をする際、誰かに相談することで安心感を得たいと考えます。特に家族は、その人の生活状況や経済状況を最も理解している存在です。毎日の生活に影響する決断であればあるほど、家族の理解と支援が必要不可欠だと感じるのです。

また、自分一人では決められない理由として、「家族への影響」を気にする場合も多くあります。たとえば住宅ローンの場合、毎月の返済が家計に与える影響は大きく、家族の理解なしには契約できないと考えるのは当然のことです。

2-2.家族に相談が断りの言葉なのか見極めるポイント

ただし、「家族に相談します」という言葉の中には、実は様々な本音が隠されています。

見極めのポイントは、顧客の表情や態度、そして何よりも会話の流れにあります。

真剣に家族と相談したいと考えている顧客の特徴
  • 具体的な家族の存在に言及する(「夫と相談します」「妻と話し合いたいので」など)
  • メモを取るなど、説明に対して能動的な反応を示す
  • 家族の予定を確認しようとする仕草が見られる
  • 「いつ頃までに決めればよいですか?」など、具体的な期限を確認する
単なる断りとして使っている可能性が高い顧客の特徴
  • 曖昧な表現を使う(「とりあえず」「一度」「ちょっと」など)
  • 具体的な家族の存在には触れない
  • 説明資料への関心が薄い
  • 次回のアポイントに具体性がない

本当に家族に相談したいと考えている顧客は、「夫婦で決めたいので」「両親とも話し合いたいので」など、具体的な家族の存在について言及することが多いものです。

また、商品やサービスの説明を熱心に聞き、メモを取るなど、前向きな姿勢も見られます。

例えば、こんな会話の流れは家族と本当に相談したいというサインです。

前向きな反応の会話例

お客様

「主人と相談したいのですが、この資料は持ち帰れますか?」

営業マン

「はい、もちろんです。特にこのページは詳しくご説明いただけると…」

お客様

「あ、ここメモしておきますね。主人も気にしそうなポイントですから」

一方で、単なる断りの場合は、「とりあえず家族と…」「一度持ち帰って…」といった曖昧な表現を使う傾向があります。また、具体的な家族の存在には触れず、説明にも深い関心を示さないことが特徴です。

消極的な反応の会話例

お客様

「とりあえず、家族とも話してみないと…」

営業マン

「ご家族の方は、どなたにご相談されますか?」

お客様

「いや、まあ…(具体的な返答がない)」

このような反応の違いを見極めることで、次のアプローチを変えていくことができます。前向きな反応の場合は家族への説明サポートを強化し、消極的な反応の場合は、まずは目の前の顧客の不安や懸念を解消することに注力するといった具合です。

ただし、最初は消極的な反応でも、適切なアプローチで前向きな検討に変わることもあります。だからこそ、反応を見極めたうえで、その状況に合わせた最適な提案を心がけることが大切なのです。

判断基準 本当に相談したい場合 単なる断りの場合
言葉遣い 具体的な家族の名前を出す 「とりあえず」等曖昧な表現
資料への態度 メモを積極的に取る 資料に関心を示さない
次回予定 次回の予定を確認する 次回の日程を明確にしない
質問の特徴 質問が具体的 質問が抽象的

2-3.家族の存在を味方につける考え方

ここで重要なのは、家族の存在を「商談の障害」ではなく、「成約への味方」として捉え直すことです。

顧客が家族に相談したいと考えるのは、その商品やサービスに前向きな関心を持っているからこそです。完全に興味がないものであれば、わざわざ家族に相談する必要もないはずです。

そこで必要なのは、家族への説明を顧客任せにするのではなく、積極的にサポートする姿勢です。家族が気にするであろうポイントを事前に整理し、分かりやすい説明資料を用意することで、顧客の説明負担を減らすことができます。

また、家族の立場に立って考えることも大切です。たとえば、契約によって家族にもたらされるメリットを具体的に示すことで、家族からの賛同を得やすくなります。私たち営業は、顧客だけでなく、その家族の幸せまでも考えた提案をする必要があるのです。

このように、家族の存在を味方につけることができれば、むしろ成約への近道となり得ます。次の章では、そのための具体的な方法をお伝えしていきます。

3.プロが実践する家族への説明フォロー

前章で、家族の存在を味方につけることの重要性をお伝えしました。ここからは、実際にどのように家族への説明をフォローしていくのか、具体的な方法をご紹介します。

3-1.家族説明用の提案書の作り方

通常の提案書とは別に、家族説明用の提案書を作成することで、成約率は大きく変わってきます。この提案書作成で最も重要なのは、「家族目線」に徹底的にこだわることです。

以下に、家族説明用提案書の基本構成をご紹介します。

▼家族説明用提案書 サンプル構成
セクション 内容と目的
【表紙】 ・ご家族の夢を叶えるための○○プラン
・ご家族全員のための提案書であることを印象付ける
【1.現状の課題】 ・今のお住まいの状況
・ご家族様の将来に向けた不安
・現状の問題点を整理し、共有する
【2.ご提案内容】 ・プランの特徴
・ご家族様それぞれのメリット
・具体的な解決策を示す
【3.具体的な数値】 ・月々の支払いシミュレーション
・将来の資産価値
・具体的な数字で安心感を与える
【4.安心保証】 ・アフターサポート内容
・保証内容
・長期的な安心感を提供する

まず、表紙から家族全員で見やすい構成にします。たとえば「ご家族の夢を叶えるための○○プラン」といったタイトルをつけ、家族全員のための提案書であることを印象付けます。

次に、本文は必ず次の流れで構成します。

  1. 現在の状況
  2. 将来の理想像
  3. 具体的なプラン

特に「❷将来の理想像」の部分では、その商品やサービスを導入することで実現できる、家族それぞれの生活の変化を具体的に描写していきます。

たとえば住宅の場合、「お子様の勉強部屋が確保できる」「奥様の家事動線が改善される」「ご両親が遊びに来やすくなる」といった具合に、家族一人一人にとってのメリットを明確に示していきます。

3-2.家族全員の理解を得るための3つの工夫

提案書を作成したら、次は家族全員の理解を得るための工夫が必要です。私の30年の営業経験から、以下の工夫が特に効果的だと実感しています。

1つ目は「数字を使った客観的な説明」です。たとえば、毎月の支払額だけでなく、5年後、10年後の資産価値の変化なども図やグラフを使って分かりやすく示します。感覚的な説明ではなく、具体的な数字で示すことで、家族の不安を解消することができます。

2つ目は「家族の立場別メリットの整理」です。世帯主、配偶者、お子様、場合によっては同居のご両親など、それぞれの立場で感じる不安やメリットは異なります。これらを丁寧に整理し、立場ごとの説明資料を用意することで、家族全員の理解を得やすくなります。

3つ目は「実例の提示」です。すでにその商品を導入している家族の声や、具体的な活用事例を紹介することで、より具体的なイメージを持ってもらえます。特に、「最初は不安だったが、今は満足している」といった実例は説得力があります。

3-3.フォローアップのタイミングと方法

家族説明用の提案書を渡した後は、適切なタイミングでのフォローアップが欠かせません。私の経験上、早すぎるフォローは逆効果となりやすく、かといって遅すぎると機会を逃してしまいます。

基本的には、提案書をお渡ししてから2日後に最初の電話フォローを行います。この際、

営業マン

「ご家族の方とお話しいただけましたでしょうか」

と、さりげなく確認します。まだ話し合えていない場合は、

営業マン

「ご家族の方と話し合われる予定の日時は決まっていますか?」

と具体的な予定を確認します。

また、フォローの際は必ず新しい情報や価値を付け加えるようにします。たとえば、

営業マン

「実は今なら○○というオプションもお付けできます」

といった具合です。これにより、単なる確認の電話ではなく、価値ある情報提供の機会として捉えてもらえます。

家族との話し合いが行われた後は、できるだけ早く直接説明の機会を設定します。「ご家族の方からご質問等はございませんでしたか?もしよろしければ、私からご家族の方に直接ご説明させていただきたいのですが」と提案します。

このように、一貫して家族全体をサポートする姿勢を示すことで、信頼関係を築き、成約への道筋を作ることができます。

4.家族に相談と言われないための事前対策

ここまで、家族に相談と言われた後の対応方法についてお伝えしてきました。しかし、さらに成約率を高めるためには、そもそも「家族に相談します」と言われない商談の進め方を身につけることが重要です。

4-1.商談前に確認しておくべき3つの事項

私が30年の営業経験で最も重要だと実感しているのは、商談前の準備です。特に以下の3つの事項を確認しておくことで、「家族に相談します」という言葉を聞くリスクを大きく減らすことができます。

商談前の確認事項3つ
  • 家族構成の事前確認
  • 決定権者の把握
  • 家族の不安要素の想定

それぞれの内容を詳しく解説していきます。

家族構成の事前確認

アポイントを取る段階で「ご家族の方も一緒にいらっしゃいますか?」と確認します。この時、強引に家族の同席を求めるのではなく、「より具体的なご提案ができますので」と、メリットを伝えながら自然に確認していきます。

決定権者の把握

たとえば「このようなご決定は、通常どなたとご相談されることが多いですか?」と、さりげなく確認します。「家族と相談します」という言葉の多くは、実は決定権者の存在を事前に把握できていないことから生まれているのです。

家族の不安要素の想定

商品やサービスの特性から、家族がどのような不安を持つ可能性があるかを事前に分析します。たとえば住宅ローンであれば、毎月の返済額が家計を圧迫しないかといった不安が想定されます。これらの不安に対する回答を、あらかじめ準備しておくのです。

4-2.信頼関係を築くための具体的なトーク例

事前準備ができたら、次は商談での具体的な会話の進め方です。ここでは、家族への配慮を示しながら信頼関係を築いていく会話例をご紹介します。

商談の段階別 信頼関係構築のポイント
  • 序盤:家族の存在を自然に意識した質問
  • 中盤:家族の視点に立った提案
  • 終盤:家族全体のメリットの明確化

商談序盤での会話例

家族の存在を意識した質問を自然に織り交ぜていきます。

【会話例1:自然な問いかけ】

営業マン

「このような商品について、ご家族の方とお話しされたことはありますか?」

お客様

「妻とは少し話しましたが、具体的な話までは…」

営業マン

「なるほど。奥様は、どのような点を気にされていましたか?」
※効果:商品に対する家族の認識を把握しつつ、家族と共に検討する雰囲気を作ります

【会話例2:将来の暮らしについて】

営業マン

「ご家族の方の将来についても、お考えになられているのでしょうか?」

お客様

「そうですね。子供の教育のことは気になっていて…」

営業マン

「お子様の夢や目標について、ご家族で話し合われることもありますか?」
※効果:家族の夢や目標に寄り添う姿勢を示し、信頼関係を深めます

商談中盤での会話例

顧客が語る家族の話題に対して、真摯に耳を傾け、具体的な提案につなげていきます。

【会話例3:具体的な生活シーンの共有】

お客様

「休日は家族と過ごすことが多くて…」

営業マン

「素敵ですね。このプランであれば、ご家族との時間をより充実させることができます。例えば…」
効果:顧客の大切にしている家族との時間に価値を見出し、提案に結びつけます

【会話例4:家族の不安への対応】

営業マン

「ご家族の方が心配されそうな点について、事前に確認させていただけますか?」

お客様

「そうですね。妻は毎月の支払いのことを気にすると思います」

営業マン

「ありがとうございます。では、具体的な収支計画をご用意させていただきます」
※効果:予想される家族の不安に先回りして対応する姿勢を示します

商談終盤での会話例

提案の際には必ず家族にもたらされるメリットを具体的に説明します。

【会話例5:家族全体のメリット提示】

営業マン

「このプランには、ご家族の方それぞれにメリットがございます。まず奥様には…お子様には…」

お客様

「確かに、家族のことを考えるとこの選択が良さそうですね」
※効果:家族一人一人のメリットを具体的に示すことで、決断を後押しします

【会話例6:次のステップの提案】

営業マン

「よろしければ、ご家族の方にも直接ご説明させていただきたいのですが…」

お客様

「そうですね。妻も詳しく知りたがっていましたから」
※効果:自然な流れで家族との商談機会を作ります

このような会話を重ねることで、「これなら家族も賛成してくれるはず」という確信を顧客に持ってもらうことができます。そうすれば、「家族に相談します」という言葉が出る前に、顧客自身から「家族にも説明してほしい」という要望が出てくることも少なくありません。

また、これらの会話例は、あくまでも基本形です。顧客の反応や商品の特性に応じて、臨機応変にアレンジしていく必要があります。大切なのは、常に「この家族の幸せのために」という視点を持ち続けることです。

4-3.家族に相談と言われやすい商品特性と対処法

家族に相談と言われやすい商品やサービスには、いくつかの共通した特性があります。これらの特性を理解し、適切な対処法を知っておくことで、より効果的な商談が可能になります。

特に家族に相談と言われやすいのは、以下のような特性を持つ商品です。長期の支払いが発生する商品、大きな初期投資が必要な商品、家族全員の生活に影響する商品などが該当します。たとえば住宅、自動車、高額な保険商品などは、その代表例といえます。

このような商品を扱う場合、商談の最初から家族全体のメリットを意識した提案を心がけます。たとえば「毎月の支払いを抑えることで、お子様の教育資金も確保できます」といった具合に、家計全体への影響を踏まえた説明を行います。

特に重要なのは、リスクについても誠実に説明することです。リスクを隠したり、過少に説明したりすると、後で家族から指摘され、信頼を失うことにもなりかねません。プロとして、メリットもリスクも包み隠さず説明することで、かえって信頼を得ることができます。

まとめ

ここまで、「家族に相談します」と言われた際の対応から、事前の対策まで詳しく解説してきました。最後に重要なポイントを整理しておきましょう。

「家族に相談します」への対応 重要ポイント
  • 商談の障害ではなく、成約へのチャンスとして捉える
  • 家族への丁寧な説明サポートで成約率を高める
  • 事前準備と対策で「家族に相談します」を防ぐ
  • 顧客だけでなく、家族の幸せまで考えた提案をする

家族に相談と言われた際は、その言葉を商談の障害としてではなく、成約への新たなチャンスとして捉えることが大切です。適切な切り返しと、家族への丁寧な説明サポートがあれば、むしろ成約率を高められる可能性があります。

また、事前の準備と対策を徹底することで、「家族に相談します」と言われるリスクを大きく減らすことができます。家族構成の確認、決定権者の把握、想定される不安への準備など、事前の対策を怠らないようにしましょう。

最も重要なのは、顧客だけでなく、その家族の幸せまで考えた提案を心がけることです。そうすることで、顧客からの信頼を得られるだけでなく、家族からの支持も得られやすくなります。

私たち営業は、単に商品やサービスを販売するのではなく、顧客とその家族の人生をより良いものにするお手伝いをする存在です。その意識を持って日々の営業活動に取り組んでいけば、必ず結果はついてくるはずです。

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