初回商談で決めるクロージングの流れと心理術解説【効果実証済】

初回商談で決めるクロージングの流れと心理術解説【効果実証済】

「今日の商談でなんとか契約を取りたい…。でも、うまくクロージングに持ち込めるか不安…」

そんな悩みを抱えている営業マンは少なくないでしょう。商談はスムーズに進むのに、最後の一押しで契約を取り逃してしまう。この経験、一度はありませんか?

私は大手ハウスメーカーで30年間、営業の最前線で戦ってきました。個人の営業マンとして約2000名の営業マンの中で上位0.5%以内の成績を何度も達成。その後、営業所長として数多くの「成績不振の営業マン」を「売れる営業マン」へと変えてきました

その経験から言えることは、クロージングの成功は「正しい流れ」さえ知っていれば、誰にでも必ず実現できるということです。決して特別な才能や性格は必要ありません。

本記事では、クロージングを成功させるための具体的な4つのステップをお伝えします。これは700冊以上のビジネス書から得た知見と、長年の営業経験で培った実践的な手法を組み合わせたものです。

▼この記事でわかること

  • クロージングを成功させる具体的な4つのステップ
  • 各ステップでやるべきことと注意点
  • クロージングを確実に決めるための実践的なテクニック

1.クロージングを成功させる具体的な4つのステップ

営業のクロージングで最も重要なのは、初回の商談で決めることです。なぜなら、9割の顧客は初回の商談で購入を決めているからです。

これは私が30年間の営業経験で実証してきた事実です。2回目、3回目の商談を重ねれば契約率が上がると考えている営業マンは多いですが、それは大きな誤解です。

むしろ、商談を重ねるほど、顧客は「失敗したくない」「損をしたくない」という防御的な心理状態になり、契約を決断することが難しくなってしまいます。

そこで重要になるのが、初回商談でクロージングまで持っていくための「正しい流れ」です。

  • 【Step1】いきなり本題、購入意思の確認から入る
  • 【Step2】即座に予算と決裁権を確認する
  • 【Step3】見積もりを先出しして信頼を獲得する
  • 【Step4】競合を含めた正直な商品比較を示す

この4つのステップを実践することで、あなたも確実にクロージングを決められるようになります。

では、ここからは各ステップごとに詳しく解説していきます。

1-1.【Step1】いきなり本題、購入意思の確認から入る

多くの営業マンは、最初に世間話や雑談から入ろうとします。しかし、これは大きな間違いです。顧客は忙しい時間を割いてあなたに会っているのです。本題を知りたがっているのです

私の経験上、最も効果的なのは、次のような切り出し方です。

営業マン

「本日はどのようなことでお時間をいただけましたか?」

このように率直に目的を確認することで、顧客は自然と本音を語り始めます。なぜなら、顧客は自分の課題や悩みについて、誰かに相談したいと思っているからです。

そして、この質問への反応を見ることで、購入意思の強さを判断することができます。購入意思の強い顧客は、具体的な課題や要望を明確に話してくれます。例えば「今使っているシステムの保守が切れるので、新しいものを検討している」といった具合です。

一方で、「話だけ聞いてみようと思って」「とりあえず色々と見ている段階で」といった曖昧な返答は、購入意思が低いサインです。こういった場合、時間をかけて説明しても契約にはつながりにくいので、早めに見極めることが重要です。

1-2.【Step2】即座に予算と決裁権を確認する

購入意思が確認できたら、すぐに予算と決裁権の確認に移ります。この2つの確認を後回しにすることで、多くの営業マンが時間を無駄にしています

私が実践している具体的な確認方法は次の通りです。

営業マン

「概算の予算はどれくらいでお考えでしょうか?」

営業マン

「最終的な決定は○○様でよろしいでしょうか?」

多くの営業マンは「こんな早い段階で聞くのは失礼では?」と考えてしまいます。しかし、むしろ購入意思の強い顧客は、こういった質問を歓迎します。なぜなら、自分たちの状況に合った提案をもらえると期待するからです。

例えば、ある営業マンは「予算を聞くのは失礼だ」と考え、1時間かけてプレゼンをしました。しかし最後に「予算は100万円です」と言われ、提案した500万円の商品が全く検討の余地もないことが判明。お互いの時間を無駄にしてしまいました。

こういった事態を防ぐためにも、予算と決裁権は商談の最初に必ず確認するようにしましょう。これにより、的確な提案ができ、クロージングの成功率も大きく上がります。

1-3.【Step3】見積もりを先出しして信頼を獲得する

予算と決裁権が確認できたら、次は見積もりの提示です。多くの営業マンは「商品説明を十分にしてから見積もりを出そう」と考えます。しかし、それは間違いです。見積もりは商談の早い段階で提示するべきです

私の経験から言えることですが、顧客が最も知りたいのは「結局いくらなのか?」という点です。この不安や疑問を解消しないまま、いくら素晴らしい商品説明をしても、顧客の心には届きません。

ある営業マンはこう言いました。「でも、価格を出すのが早すぎると、他社と比較されてしまいます」と。しかし、むしろ早めに見積もりを出すことで、顧客からの信頼は高まります。なぜなら「この営業マンは隠し事をしない」という印象を与えるからです。

例えば、私の成功事例を紹介しましょう。

営業マン

「今の段階での概算見積もりをお出しさせていただきます。お客様の状況やご要望に応じて、この後調整させていただきますので、まずは参考程度にご覧ください」

このように伝えることで、顧客は安心して商談を進めることができます。見積もりを確認した上で、より具体的な質問や要望を出してくれるようになるのです。

1-4.【Step4】競合を含めた正直な商品比較を示す

見積もりを提示した後は、競合との比較に入ります。ここで重要なのは、競合製品の良いところも含めて、正直に比較することです。

営業マン

「他社の製品と比べて、うちの商品が優れている点は○○です。一方で、△△の面では他社製品の方が優れています」

このように正直に伝えることで、逆説的にあなたへの信頼は高まります。なぜなら、多くの営業マンは自社製品の良い点だけを強調し、競合の欠点ばかりを指摘するからです。

私の経験では、このような正直な比較をした後、顧客からこんな言葉をいただくことが多々ありました。

お客様

「他社の営業マンは自社の良いところしか言わなかったのですが、あなたは正直に話してくれて参考になりました」

正直な商品比較は、時として自社製品の弱みを露呈することにもなります。しかし、それこそが顧客との信頼関係を築く最短ルートなのです

このように、4つのステップを実践することで、自然な流れでクロージングまで持っていくことができます。では次の章で、なぜこの流れが効果的なのか、その理由について詳しく解説していきましょう。

2.なぜこの流れが効果的なのか?初回商談の重要性

前章では具体的な4つのステップをお伝えしました。「でも、そんなに急いでクロージングまで持っていく必要があるの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。ここからは、なぜこの流れが効果的なのか、その理由を詳しく解説していきます。

2-1.9割の顧客が初回で購入を決める理由

30年間の営業経験で分かったことは、9割の顧客は初回の商談時点で「買うか買わないか」を決めているということです。これは住宅営業のような高額商品でも変わりません。

その理由は顧客の心理にあります。顧客は実は、あなたとの商談の前に、すでにインターネットで情報収集を済ませています。商品の特徴や価格帯、競合との比較まで、ある程度の知識を持って商談に臨んでいるのです。

つまり、顧客があなたに会いに来る時点で、その商品を「買いたい」という気持ちはすでにあるのです。後は「この営業マンから買いたい」と思えるかどうかだけが、判断のポイントになっています。

2-2.時間の無駄になる「次回アポ取得」という誤解

「初回は信頼関係を築くことが大切。2回目、3回目とじっくり商談を重ねていけば、必ず契約は取れる」

多くの営業マンがこう考えています。私もかつてはそう思っていました。しかし、これは大きな誤解です。むしろ、「次回アポを取ること」を目標にする営業スタイルこそが、時間の無駄になってしまいます

なぜなら、顧客の期待が最も高いのは初回商談の時だからです。次回アポを取っても、その時には「他社の提案も聞いてみます」と言われ、結局契約を逃してしまうケースが非常に多いのです。

2-3.2回目の商談では手遅れになる3つの理由

なぜ2回目の商談では手遅れなのか。その理由は以下の3つの顧客心理に関係しています。

  • 失敗への不安
  • 比較検討の深化
  • 熱意の冷却

【失敗への不安】
時間が経つほど、顧客は「こんな大きな買い物を決めて大丈夫だろうか」と不安を募らせていきます。その不安は、いくら丁寧に説明しても、むしろ大きくなっていくものなのです。

【比較検討の深化】
2回目の商談までの間に、顧客は必ず他社の製品も検討します。情報が増えれば増えるほど、判断は難しくなっていきます。

【熱意の冷却】
初回商談時の「この商品が欲しい」という熱意は、時間とともに必ず冷めていきます。その熱が最も高いタイミング、つまり初回商談でクロージングする。これが成功への近道なのです。

では次の章では、実際の商談でよくある状況に対する、具体的な対応方法についてお話ししていきましょう。

3.クロージング成功率を高める実践的対応法

前章では、初回商談の重要性と2回目では手遅れになる理由について説明してきました。しかし実際の商談では、様々な断りの言葉が返ってくるものです。

では、実際の商談で直面する様々な断りの言葉には、具体的にどう対応すれば良いのでしょうか。

ここからは、よくある3つの断り文句への具体的な対応方法をお伝えします。

3-1.「もう少し考えさせてください」と言われた時の切り返し

「もう少し考えさせてください」という言葉の裏には、必ず明確な理由が隠れています。この言葉を鵜呑みにして「では、また後日」と引き下がってしまうのは大きな間違いです。

私が実践している効果的な切り返しは、次のような率直な質問です。

営業マン

「具体的に、どのような部分で迷われていますか?」

この質問をすることで、顧客は自分が何に不安を感じているのかを明確に意識し始めます。

例えば、

お客様

「実は予算が気になっていて…」

お客様

「導入後のサポート体制が不安で…」

といった本音が出てくるのです。

そして重要なのは、この本音こそが、クロージングの糸口になるということです。むしろ、これらの不安要素が明確になることで、的確な提案が可能になり、その場でクロージングまで持っていけるケースが多いのです。

3-2.「他社も検討中です」への具体的な返答方法

「他社も検討中です」という言葉を聞くと、多くの営業マンは「他社の方が良いと思われているのでは」と不安になります。しかし、この言葉はむしろチャンスなのです。

なぜなら、顧客は正直に状況を教えてくれているからです。ここで効果的なのが、次のような率直なアプローチです。

営業マン

「具体的にどちらの会社様をご検討されていますか?それぞれの特徴を整理させていただければ、より良い判断材料をご提供できるかと思います」

このように競合を恐れず、むしろ積極的に比較の土俵に上がることで、顧客からの信頼は大きく高まります。特に、先ほどお伝えした「競合製品の良い点も含めた正直な比較」を示すことで、その効果は絶大です。

3-3.「予算が合いません」を契機に変える価格交渉術

「予算が合いません」という言葉は、一見すると商談が終わりを告げるサインのように思えます。しかし、この言葉こそ、クロージングのチャンスに変えられるのです。

私が実践している具体的なアプローチはこうです。

営業マン

「現時点での予算としては厳しいということですね。では、仮に予算の問題がクリアできた場合、他に気になる点はございますか?」

この質問で「いえ、予算さえ合えば…」という回答が返ってきた場合、それは価格以外の部分では購入の意思が固まっているということです。つまり、あとは価格面での工夫だけで、クロージングまで持っていける可能性が高いのです。

このように、一般的には商談が終わるサインと思われがちな言葉でも、適切なアプローチを知っていれば、むしろクロージングのチャンスに変えることができます。

では最後に、これらの対応を効果的に実践するための心構えについて、お話ししていきましょう。

4.誠実さを武器に変えるクロージングの極意

ここまで、具体的なクロージング手法についてお話ししてきました。しかし、これらの手法を効果的に機能させるためには、さらに重要な要素があります。それが「誠実さ」を武器にするという考え方です。

実は、多くの営業マンが「誠実に話すと契約を逃してしまう」と考えています。しかし、私の経験から言えることは、むしろ誠実さこそが、最も強力な営業武器になるということです。

4-1.なぜ正直な商品比較が契約を生むのか

「うちの商品は全ての面で他社より優れています」

このように自社製品の良さばかりを強調する営業マンを、顧客は決して信用しません。なぜなら、そんな完璧な商品は存在しないことを、顧客は知っているからです。

私は、次のように話すことを心がけています。

営業マン

「弊社製品は○○の面で他社より優れていますが、△△の部分については他社製品の方が優れています。ただし、お客様のご要望は○○が特に重要とのことでしたので、弊社製品をお勧めさせていただいています」

このように競合製品の良い点も含めて正直に比較すると、不思議なことに契約率は大きく上がります。これは、顧客が「この営業マンは本当のことを話してくれている」と感じ、信頼してくれるからです。

4-2.できないことを明確に伝える重要性

「それは難しいかもしれません」「申し訳ありませんが、それはお約束できません」

多くの営業マンは、このような否定的な言葉を使うことを極端に恐れます。しかし、できないことを「できます」と言って後で問題になるよりも、最初から正直に伝えた方が、はるかに信頼関係を築けるのです。

例えば、ある営業マンは「何でもできます!」と約束して契約を取りましたが、後になって実現できないことが判明。結果、顧客との関係は最悪となり、その後の追加受注どころか、解約にまで発展してしまいました。

一方で私は、できないことは最初から明確に伝え、その代わりにできることを具体的に提案するようにしています。すると顧客からは「正直に話してくれてありがとう」と感謝されることが多いのです。

4-3.強引にならない提案の具体的メソッド

「誠実な営業をしていると、どうしても強引さに欠けてしまう…」

こんな悩みを持つ営業マンは多いでしょう。しかし、誠実さと強引さは、決して相反するものではありません。むしろ、誠実だからこそできる強い提案があるのです。

私が実践している具体的な提案方法は、このようなものです。

営業マン

「今回ご提案させていただいた内容は、○○様の課題を解決できる最適な方法だと確信しています。もし私の認識が間違っているようでしたら、どうかご指摘ください」

この提案方法の特徴は、自分の提案に自信を持ちながらも、顧客の意見を尊重する姿勢を示している点です。これにより、押しつけがましさを感じさせることなく、強い提案を行うことができます。

そして、この提案に対して顧客が「でも…」と返してきた時は、次のように返します。

営業マン

「○○様のご不安はよく分かります。ただ、その不安を解消できない限り、私からの提案をお勧めすることはできません。ですので、その部分についてもう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか」

このように、顧客の立場に立ちながらも、自分の提案に自信を持って向き合う。これこそが、強引過ぎず、かつ弱々しくもない、最も効果的な提案方法なのです。

おわりに

クロージングの成功は、決して特別な才能や性格によるものではありません。本記事でお伝えした通り、正しい流れと誠実な姿勢さえあれば、誰でも必ず達成できるものなのです。

重要なのは、初回商談での勝負にこだわること。そして、顧客に対して常に誠実であることです。一時的な売上を追うのではなく、顧客との信頼関係を築きながら、着実にクロージングを決めていく。これこそが、プロフェッショナルな営業マンの在り方です。

私は30年間の営業経験の中で、数多くの「売れない営業マン」を「売れる営業マン」に変えてきました。その経験から確信を持って言えることは、あなたも必ず「売れる営業マン」になれるということです。

この記事で学んだことを、ぜひ明日からの営業活動で実践してみてください。きっと、具体的な成果を実感できるはずです。

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