不動産営業は、時に心が折れそうになるほどの苦労があります。「今月も成果が出ない」「休日も取れない」「家族との時間が作れない」。そんな悩みを抱えながら、毎日奮闘されているのではないでしょうか。
特に経験が浅い頃は、「自分だけがこんなに悩んでいるのだろうか」「この仕事に向いていないのかもしれない」と不安になることも多いと思います。そして、そんな不安を誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまっているのではないでしょうか。
私は大手ハウスメーカーで営業30年の経験があり、プレイヤーとして15年、営業マネージャーとしても15年のキャリアを積んできました。数百名の営業マンを指導してきた経験から言えることは、誰もが同じような経験をし、同じような壁にぶつかっているということです。
そして、重要なのは、これらの経験は決して無駄ではないということです。むしろ、これらの経験こそが、あなたを一流の営業マンへと成長させるための必要なステップなのです。
そこで今回は、不動産営業ならではの「あるある」体験を紹介しながら、どうすれば成果を上げられるのか、その具体的な方法についてお伝えしていきます。
実は、不動産業界における個人向け営業の離職率は13.3%と、入職率12.3%を上回っています。多くの方が挫折してしまう中で、なぜ一部の営業マンだけが結果を出せているのでしょうか。
この記事では、不動産営業の「あるある」を共有するだけでなく、それを活かして結果を出すためのノウハウもお伝えします。30年間で培った経験をもとに、誰でも実践できる具体的な方法をご紹介していきます。
- 不動産営業ならではの喜びと苦労20選
- 不動産営業で本当にやりがいを感じる瞬間
- あるある体験を乗り越えて成果を上げる具体的な方法
- 営業の成功に欠かせない3つの考え方
- 初回接客を成功させるための実践テクニック
1.知っておきたい不動産営業あるある20選!現役営業マンの体験談
不動産営業には、誰もが一度は経験する「あるある」な出来事がたくさんあります。これから紹介する体験は、私が30年間で経験し、また数百名の営業マンを指導する中で共有されてきた代表的なものです。
これらの体験は、実は成長するために必要な過程でもあります。一つ一つの経験には、営業マンとして成長するためのヒントが隠されているのです。まずは、不動産営業ならではの「うれしいあるある」と「つらいあるある」をそれぞれ見ていきましょう。
1-1.うれしいあるある10選
まずは不動産営業をしていて思わず笑顔になる、うれしい出来事をご紹介します。これらの体験は、不動産営業の醍醐味であり、この仕事を続けていく大きな原動力となるものです。
お客様が夢を叶えた瞬間
契約後、お客様から「ずっと憧れていたマンションに住めることになって、本当に嬉しいです」と笑顔で感謝されることがあります。特に若いご夫婦の初めての住宅購入では、その喜びがダイレクトに伝わってきます。
紹介の連鎖が生まれる
一人のお客様との信頼関係が深まると、「友人も家を探しているから紹介したい」と言っていただけることがあります。一人のお客様との出会いが、新たな出会いを生むのです。
プロポーズの場所になる
物件の内見中に「ここで一緒に暮らそう」とプロポーズするカップルに立ち会うことがあります。人生の大切な瞬間に関われることは、この仕事ならではの喜びです。
子供の成長を見守れる
以前お世話したお客様のお子様が成長し、今度は自分の家を探しに来てくれることがあります。長期的な信頼関係を築けるのは、不動産営業の大きな魅力です。
地域の発展に貢献できる
新築マンションの販売などを通じて、街の景観が良くなっていくのを実感できます。街づくりに携われる喜びは、不動産営業ならではの体験です。
お客様の人生設計に関われる
「老後は田舎暮らしがしたい」「子育ては緑の多い環境で」など、お客様の夢や理想を実現するお手伝いができます。単なる物件の紹介ではなく、人生設計のアドバイザーとして関われるのです。
成約時の達成感
長期間かけて検討されていたお客様が、最終的に「この物件に決めます」と言ってくださった時の喜びは格別です。お客様と共に最良の選択ができた実感が得られます。
初任給以上の報酬
成約すると、初任給を上回るような報酬を得られることがあります。頑張りが目に見える形で評価されるのは、大きなモチベーションになります。
お客様からの手作りプレゼント
引き渡し後に手作りのお菓子や手紙をいただくことがあります。心のこもったプレゼントは、この仕事への誇りと自信につながります。
街で声をかけられる
休日に街を歩いていると、以前お世話したお客様から声をかけられることがあります。「あの時は本当にありがとう」という言葉は、何よりも嬉しいものです。
これらの体験は、不動産営業という仕事の価値を実感できる大切な瞬間です。しかし、このような喜びを感じられるようになるまでには、様々な苦労や困難があるのも事実です。次は、不動産営業ならではのつらい体験についてご紹介していきます。
1-2.つらいあるある10選
先ほどはうれしい体験をご紹介しましたが、ここからは不動産営業ならではのつらい体験をお伝えします。これらは多くの不動産営業マンが経験する出来事ですが、乗り越え方を知ることで必ず成長につながる経験となります。
契約直前のキャンセル
何度も物件を案内し、ようやく契約という段階まで来たのに、突然キャンセルの連絡が入ることがあります。時間をかけて信頼関係を築いてきただけに、このような時は本当に胸が痛みます。
しかし、このような状況を数多く経験してきた先輩営業マンは、次のような対策を取っています。契約前に必ず「なぜこの物件を選んでいただけたのか」を確認し、お客様自身の言葉で価値を再確認していただきます。また、住宅ローンの仮審査を早めに実施し、資金面での不安を取り除いておくことも重要です。
休日出勤が当たり前
お客様が物件を見たい時間は、必然的に休日になります。そのため、友人や家族との予定が合わなくなることも。休日の予定が立てづらいのは、この仕事の宿命とも言えます。
この課題に対しては、月初めに休みの調整を行うことをお勧めします。例えば、平日に半休を取って家族サービスの時間を作ったり、休日の商談は午前中に集中させて午後は家族と過ごすなど、工夫次第で両立は可能です。実際に、私の部下で売上トップの営業マンは、休日の商談時間を原則午前中のみと決めて、午後は家族との時間を確保しています。
深夜までの内見対応
お客様の仕事の都合で、夜遅くの内見になることがあります。「今日しか時間が取れない」というお客様の要望に応えるため、つい深夜まで働くことになります。
これに対する解決策として、事前に物件資料をメールで送付し、お客様の関心ポイントを絞っておくことが効果的です。また、物件の動画や360度写真を用意しておくことで、実際の内見時間を短縮することもできます。
突然の値引き交渉
契約寸前になって「もう少し値引きできませんか?」と言われることがあります。お客様との信頼関係を保ちながら、適切な価格交渉をしなければならない難しさがあります。
このような状況に備えて、事前に価格の根拠となるデータを用意しておくことが重要です。例えば、周辺相場との比較表や、将来的な資産価値の推移予測、維持費用のシミュレーションなどです。「値引き」ではなく「価値」で納得いただける材料を準備しておきましょう。
競合他社との価格競争
同じ物件を複数の不動産会社が扱っている場合、価格競争に巻き込まれることがあります。安易な値引き合戦ではなく、価値を伝える営業が求められます。
ここで重要なのは、価格以外の価値を明確に示すことです。例えば、アフターフォローの充実度、リフォーム時の優待特典、地域情報に関する詳しい知識など、自社ならではの強みを具体的に説明できるようにしておきましょう。
物件の不具合発覚
契約後に物件の不具合が見つかり、お客様から厳しい指摘を受けることがあります。予期せぬトラブルへの対応は精神的にも体力的にも消耗します。
このリスクを最小限に抑えるために、事前の物件チェックリストを作成し、細かなポイントまで確認する習慣をつけましょう。また、不具合が見つかった際の対応手順も明確にしておくことで、スムーズな解決が可能になります。
月末の成績プレッシャー
月末が近づくと、上司から「今月の成績はどうなっている?」と毎日のように確認されます。数字へのプレッシャーは常に付きまとうものです。
このプレッシャーを軽減するために、月初めに具体的な行動計画を立てることをお勧めします。例えば、何件の物件案内をして、何件の商談を行うかという具体的な数値目標を設定します。また、日々の活動記録をつけることで、自分の営業プロセスの改善点も見えてきます。
決裁が下りない
お客様の希望条件に合う物件が見つかっても、ローンの審査で決裁が下りないことがあります。お客様の落胆した表情を見るのは本当につらいものです。
このリスクを回避するために、早い段階でファイナンシャルプランナーと連携し、お客様の資金計画をしっかりと確認することが重要です。必要に応じて、頭金を増やすための貯蓄プランや、親族からの援助の可能性なども含めて検討します。
マイナスイメージの返答
「不動産営業は怪しい」というイメージを持たれ、最初から警戒されることがあります。信頼関係を築くまでの道のりの長さを感じる瞬間です。
このような先入観を払拭するために、業界の専門資格(宅地建物取引士など)の保有を伝えたり、過去の成約事例や顧客の声を具体的に紹介したりすることが効果的です。また、押し付けがましい営業は避け、お客様の要望をじっくりと聞く姿勢を心がけましょう。
ここまで不動産営業の「うれしいあるある」と「つらいあるある」をご紹介してきました。これらの体験は、多くの不動産営業マンが通る道です。しかし、このような経験には深い意味があります。次の章では、これらの「あるある」体験を乗り越えた先にある、不動産営業の本当の価値についてお伝えしていきます。
2.不動産営業あるあるを乗り越えた先にある本当の価値
これまでご紹介してきた「あるある」体験は、決して乗り越えられない壁ではありません。むしろ、これらの経験を通じて得られる気づきこそが、不動産営業という仕事の本質的な価値なのです。30年の経験から言えることは、つらい経験にも、うれしい経験にも、すべてに意味があるということです。
2-1.不動産営業は人生を変える仕事
不動産営業は決して単なる「物件を売る仕事」ではありません。住まいの購入や売却は、多くの人にとって人生最大の買い物であり、その決断がその後の人生を大きく左右します。
つまり、不動産営業とはお客様の人生に深く関わり、時にはその人生の方向性さえも変えてしまうほどの影響力を持つ仕事なのです。だからこそ、表面的な営業テクニックだけでなく、お客様の人生に真摯に向き合う姿勢が必要不可欠となります。
例えば、「この物件なら予算内で購入できます」と安易に提案するのではなく、「将来の教育費や老後の資金も考えると、もう少し予算を抑えた物件をお勧めします」と伝えることもあります。時にはお客様の希望に反することを提案しなければならない場合もありますが、それこそがプロフェッショナルとしての責任なのです。
2-2.顧客の人生の節目に関われる喜び
不動産営業の醍醐味は、お客様の人生の大切な瞬間に立ち会えることです。結婚を機に新居を探すカップル、出産を控えて広い家を探す若い夫婦、子育てが一段落して住み替えを考える家族。それぞれの節目で、その方の人生に深く関わることができます。
お客様との関係は、一回の取引で終わるものではありません。何年も経ってから「あの時の決断は正しかった」と言っていただけることもあれば、お子様の代になってまた取引させていただくこともあります。このような長期的な信頼関係を築けることこそ、不動産営業の大きな魅力です。
2-3.営業のプロとして成長できる環境
不動産営業には確かに様々な苦労がありますが、それらは全てプロフェッショナルとして成長するための貴重な機会となります。契約直前のキャンセル、深夜までの内見対応、突然の値引き交渉。これらの経験は、一見するとつらい出来事に思えます。
しかし、私が30年の経験で見てきた不動産営業の成長プロセスには、明確な段階があります。
▼成長ステップと実践スキル一覧表 | ||
成長段階 | 習得すべきスキル | 実践の具体例 |
---|---|---|
1年目:基礎知識の習得期 | ・商品知識 ・関連法規の理解 |
・物件資料の作成 ・先輩の商談同行 |
2-3年目:実践力向上期 | ・時間管理力 ・商談力 |
・スケジュール管理 ・提案書作成 |
4-5年目:独自の強み確立期 | ・専門分野の確立 ・エリア分析力 |
・独自の顧客開拓 ・市場分析 |
6年目以降:総合的な提案力完成期 | ・総合的な提案力 ・コンサル能力 |
・人生設計の提案 ・資産活用の提案 |
1年目:基礎知識の習得期
業界の基礎知識や関連法規、商品知識を徹底的に学ぶ時期です。この時期に経験する失敗や困難は、むしろ歓迎すべきものです。なぜなら、これらの経験が後の成長の土台となるからです。
2-3年目:実践力向上期
基礎知識を活かしながら、実践的なスキルを磨く時期です。特に重要なのが「時間管理力」の向上です。例えば、私の部下で今や売上トップの営業マンは、この時期に「理想の1週間スケジュール」を作成し、仕事と私生活の両立を実現しました。
- 平日の朝は物件資料の作成と更新
- 午前中は新規問い合わせへの対応
- 午後は内見アポイント
- 夜は翌日の準備と家族との時間確保
4-5年目:独自の強み確立期
この時期には、自分ならではの強みを確立することが重要です。例えば、「中古マンションのリノベーション提案」や「子育て世帯向けの物件案内」など、特定の分野で圧倒的な知識と実績を積み上げていきます。
6年目以降:総合的な提案力完成期
不動産の提案だけでなく、お客様の人生設計全体をサポートできるレベルに到達します。この段階では、お客様から「家族の相談相手」として信頼されるようになります。
このようなどんな研修やマニュアルよりも価値のある学びを、日々の業務を通じて得ることができます。
また、不動産営業の面白さは、努力が目に見える形で結果として表れることです。成約につながらなかった経験から学び、次の機会に活かすことで、着実に成長を実感できます。この成長の実感こそが、さらなる向上心を生み出す原動力となるのです。
3.不動産営業で結果を出せるようになる3つの考え方
不動産営業の価値を理解した上で、実際に成果を上げていくためには正しい考え方が必要です。30年の経験と数百名の営業マン指導を通じて見えてきた、成果を上げる営業マンに共通する3つの考え方をお伝えします。
- 営業はサイエンスである:原理原則と法則に基づく再現性のある科学
- 誠実さと率直さを徹底する:嘘や隠し事をせず、本質的な提案をする
- ビジネスを通じた自己実現を目指す:仕事に深い意味を見出す
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1.営業はサイエンスである
不動産営業は決して特別な才能や、生まれ持った営業センスが必要な仕事ではありません。原理原則と法則に基づく、再現性のある科学として捉えることが重要です。
例えば、「なんとなく良い物件だと思ったから紹介した」のではなく、「お客様の年収や将来設計から考えて、この物件が最適だと判断した」という具合です。感覚や勘に頼るのではなく、理論的な分析と判断に基づいて営業活動を行うことで、誰でも確実に結果を出すことができます。
売れる営業マンは決して特別な存在ではありません。正しい理論とテクニックを学び、実践することで、必ず成果は付いてきます。
3-2.誠実さと率直さを徹底する
不動産営業で最も大切なのは、徹底的な誠実さと率直さです。お客様に嘘をつかない、隠し事をしない。できないことははっきりとできないと伝える。この姿勢を貫くことが、長期的な信頼関係を築く基礎となります。
時には「この物件は、実はリスクがあります」「今のご収入では少し無理があります」と、お客様の希望に反することを伝えなければならない場合もあります。しかし、その場しのぎの営業ではなく、お客様にとって本当に価値のある提案をすることが、結果として成果につながっていきます。
3-3.ビジネスを通じた自己実現を目指す
不動産営業を単なる収入を得るための手段として捉えてはいけません。このビジネスを通じて自分自身の成長や生きがいを見出すという視点が重要です。
確かに不動産営業は、努力次第で高い収入を得ることができる職種です。しかし、お金を稼ぐことだけを目的にしていると、必ずどこかで行き詰まってしまいます。
大切なのは、お客様の人生をより良いものにすることを通じて、自分自身も成長していくという考え方です。このような意識を持つことで、日々の仕事に深い意味を見出すことができ、持続的な成果につながっていきます。
このような考え方をベースに置いた上で、次は具体的な成果の上げ方についてお伝えしていきます。
4.あるあるを活かして成果を上げる具体的な方法
これまでお伝えしてきた考え方を実践に移すため、具体的な成果の上げ方をご紹介します。これらは30年の経験の中で確立してきた、誰でも再現できる具体的な方法です。
4-1.初回接客を最重要視する
初回の接客こそが最も大切です。なぜなら、お客様の9割は初回の接客時に購入を決断するからです。これは不動産業界の長年のデータが示す事実です。
初回接客時のお客様は、実は購入意欲が最も高い状態です。「失敗したくない」という思いから慎重な態度を見せることはありますが、その裏には「良い物件があれば今すぐにでも決めたい」という気持ちが隠れています。
- 信頼関係構築(15分)
- ニーズヒアリング(20分)
- 物件案内(40-60分)
- 提案・クロージング(25分)
❶信頼関係構築(15分)
まずは、お客様の緊張を解きほぐすことから始めます。
実際のトーク例:

「本日は、ご来店いただきありがとうございます。私は入社以来5年間、このエリアの物件を専門に担当しております。エリアの特徴や相場感など、どんなことでもお気軽にご質問ください」
❷ニーズヒアリング(20分)
お客様の本当のニーズを引き出すため、以下の項目を丁寧にヒアリングします。
- 現在の住居状況と転居理由
- 家族構成と将来計画
- 通勤・通学の条件
- こだわりたい設備・条件
- 予算と資金計画
❸物件案内(40-60分)
事前に準備した情報を効果的に提示していきます。
- 物件の詳細情報(間取り、設備、築年数など)
- 競合物件との具体的な比較データ
- 住宅ローンの具体的なシミュレーション結果
- エリアの将来性や発展計画の情報
- 近隣の施設情報(学校、病院、スーパーなど)
❹提案・クロージング(25分)
ヒアリングで把握したニーズに基づき、具体的な提案を行います。
成功事例:

「都心に近い物件をご希望とのことでしたが、予算と将来の教育費を考慮すると、この物件がベストバランスだと考えています。駅まで少し歩きますが、その分、専有面積を広く確保できます。また、5年後には新駅開発の計画もあり、将来的な資産価値も期待できます」
このような提案ができるのも、徹底的な事前準備があってこそです。初回接客での成功は、実は接客前の準備で8割が決まると言っても過言ではありません。
4-2.スペック表を戦略的に活用する
スペック表は単なる物件の性能比較表ではありません。お客様の意思決定をサポートする重要なツールとして活用することが大切です。
- 客観的な数値データ
- 競合物件との明確な違い
- 将来性に関する情報
具体的なスペック表の作り方
優れたスペック表は、お客様の判断基準に沿って作成します。以下が具体例です。
効果的なスペック比較表の例 | |||
---|---|---|---|
比較項目 | 自社物件 | A社物件 | B社物件 |
築年数 | 新築 | 2年 | 3年 |
駅距離 | 徒歩3分 | 徒歩7分 | 徒歩5分 |
耐震性能 | 最新基準 | 旧基準 | 旧基準 |
管理費 | 15,000円 | 18,000円 | 17,000円 |
将来価値 | 新駅開発予定 | 現状維持 | 現状維持 |
スペック表活用の成功事例
あるお客様は当初、他社物件を検討されていました。しかし、上記のようなスペック表で比較すると、自社物件が「駅からの距離」「管理費の安さ」「将来的な資産価値」で優位性があることが一目瞭然となりました。
特に効果的だったのは「30年間の総支出比較」です。自社物件は初期費用は若干高めでしたが、管理費の差額を累計すると30年で約108万円もの差が出ることが明確になり、お客様の判断材料となりました。
競合との差別化ポイント
競合物件との比較では、以下の観点を必ず盛り込みます。
- 初期費用と月々の支出の違い
- 設備や仕様の具体的な違い
- 周辺環境や利便性の違い
- 将来的な資産価値の予測
- ランニングコストの違い
このように、スペック表は単なる比較表ではなく、お客様の意思決定を支援するための戦略的なツールとして活用することが重要です。
4-3.顧客心理に基づくアプローチをする
不動産購入におけるお客様の心理は複雑です。表面的な要望の裏には、必ず深い理由が隠れています。例えば「予算を抑えたい」という要望の裏には、「将来の教育費が心配」という不安が隠れていることがあります。
- 初期予算の確認時
- 物件の好みを聞く時
- 立地条件の確認時
- 決断を迷っている時
- 値引き交渉の時
初期予算の確認時
「ご予算について伺わせていただいてもよろしいでしょうか?」という質問では、本当の予算を引き出せません。
効果的なアプローチ:

「将来の教育費やご家族の生活設計も含めて、ムリのない範囲でお考えのご予算をお聞かせいただけますでしょうか?その上で、最適なプランをご提案させていただきたいと思います」
物件の好みを聞く時
「どんな物件をお探しですか?」という漠然とした質問では、具体的なニーズは見えてきません。
効果的なアプローチ:

「例えば、休日はどのように過ごされることが多いですか?」

「お子様の成長に合わせて、どんな間取りの変化を想定されていますか?」
立地条件の確認時
「希望のエリアはありますか?」という質問だけでは、本当の条件は見えてきません。
効果的なアプローチ:

「平日と休日で、どのような動線で生活されることが多いですか?」

「将来的な周辺施設の充実度についても、気になる点がございましたらお聞かせください」
決断を迷っている時
「いかがでしょうか?」という質問では、お客様の本当の迷いは分かりません。
効果的なアプローチ:

「今回ご覧いただいた物件の中で、特に印象に残った点はどのような部分でしょうか?」

「逆に、少し気になる点があれば、お聞かせいただけますでしょうか?」
値引き交渉の時
「この金額でご検討いただけませんでしょうか?」という提案では、価値を伝えきれません。
効果的なアプローチ:

「この物件の価格には、将来的な資産価値の維持と、充実したアフターサービスが含まれています。具体的には…」
- お客様自身の言葉で価値を語ってもらう
- 将来のメリットを具体的に示す
- 決断への不安を解消する
このような潜在的なニーズを理解し、それに応える提案ができるかどうかが、成約率を大きく左右します。そのためには、形式的なヒアリングではなく、お客様との深い対話を心がけることが重要です。
お客様の言葉の裏にある本当の願望や不安を理解し、それに応える提案ができれば、自然とクロージングにつながっていきます。
よくある質問
最後に、不動産営業の現場でよく聞かれる質問とその回答をまとめました。
また、お客様とのコミュニケーションについても、「説明」と「質問」のバランスを振り返ってみましょう。多くの場合、説明が多すぎることで、お客様の本当のニーズを聞き逃してしまっているケースがあります。
- 平日の午前中:物件情報の更新、資料作成
- 平日の午後:内見アポイント対応
- 土日の午前中:新規のお客様対応
- 土日の午後:家族との時間
このように時間をブロック化することで、仕事の効率が上がり、かつ家族との時間も確保できます。ただし、この方法を実践するためには、お客様にも丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。
何が足りなかったのか、何を準備すべきだったのかを書き出す。
②お客様にフォローの連絡をする
「前回十分にご説明できなかった点について、改めてお伝えさせていただきたい」という姿勢で。
③次回に向けて準備を強化する
失敗から学んだ点を活かし、より充実した提案ができるよう準備する。
失敗は誰にでもあります。大切なのは、その経験を次に活かせるかどうかです。
- 物件資料だけでなく、周辺施設や将来の開発計画まで把握する
- お客様の職業や家族構成に合わせた生活シミュレーションを用意する
- 先輩の商談に同行させてもらい、ロールプレイングを行う
このような準備を重ねることで、必ず提案力は向上します。
おわりに
不動産営業には確かに様々な「あるある」があります。時には心が折れそうになることもあるでしょう。しかし、これらの経験は必ずあなたの成長につながります。
私も30年の営業経験の中で、数えきれないほどの「あるある」を経験してきました。その一つ一つが、今の私を作り上げてくれたと確信しています。
明日から実践できる具体的なアクションとして、まずは以下の3つから始めてみましょう。
…前日の夜にスケジュールを確認し、必要な資料を用意しておく
②お客様との会話を記録する習慣をつける
…スマートフォンのメモ機能を活用し、気づきを残していく
③週に1度、自分の営業スタイルを振り返る時間を作る
…うまくいったこと、改善点を具体的に書き出す
これらの小さな行動の積み重ねが、必ず大きな成果につながっていきます。
- 「相手の話を聞く」ことに集中する(話すことよりも聞くことを重視)
- スペック表は毎週アップデートする(競合との比較資料を常に最新に)
- 帰宅前に明日の準備を完了させる(朝一番から営業活動に集中できる状態に)
大切なのは、これらの経験を前向きに捉え、次の成長につなげていく姿勢です。この記事でお伝えした考え方と具体的な方法を実践することで、必ず成果は付いてきます。
そして、もし実践の中で悩みや困難に直面したら、この記事に立ち返ってください。あなたの経験している「あるある」には、必ず意味があり、乗り越えるための方法があります。
あなたの不動産営業の経験が、かけがえのない財産となることを願っています。
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