不動産営業は、きついというイメージを持たれがちな職種です。「土日も休めない」「ノルマが厳しい」「給料が不安定」といった声を聞くことも多いでしょう。
しかし、30年間不動産営業の最前線で活躍し、数百名もの営業マンを指導してきた私の経験からお伝えすると、不動産営業は決してネガティブなイメージで語られるべき仕事ではありません。
確かに、職種によって求められる経験や知識、仕事の進め方は大きく異なります。そのため、自分に合った職種を選ぶことが、不動産営業で成功するための第一歩となります。
本記事では、不動産営業の各職種における「きつさ」の実態を詳しく解説した上で、それを乗り越えて成果を上げるための具体的な方法をお伝えしていきます。
- 不動産営業の各職種における「きつさ」の具体的な実態
- それぞれの職種に求められる資質や心構え
- きつさを乗り越えて成果を出すための具体的な方法
- 不動産営業で安定した収入を得るためのポイント
- 営業スキルを身につけることで得られる将来の展望
- 成功の妨げとなる”ブラック企業”の見分け方
1.不動産営業の職種別「きつさ」を徹底比較!最新ランキングと実態
不動産営業と一口に言っても、実際には様々な職種があります。それぞれの職種によって、必要なスキルや仕事の進め方、そして「きつさ」の特徴が大きく異なります。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によれば、不動産業界の離職率は2021年の11.4%から2022年には13.8%に上昇しています。この数字からも、不動産営業の厳しさが垣間見えます。
しかし、この数字は業界全体の平均値です。実際には職種によって大きな違いがあり、中には比較的働きやすい職種も存在します。
- 投資用マンション販売営業:最もきついと言われる職種
- 土地活用の売買提案営業:専門知識が必要な職種
- 中古物件の売買仲介営業:比較的取り組みやすい職種
- 新築マンション販売営業:環境が整っている職種
- 賃貸仲介営業:入門として適している職種
▼不動産営業の職種別比較表 | |||
職種 | きつさの程度 | 必要な経験・知識 | 年収の目安 |
---|---|---|---|
投資用マンション販売 | ★★★★★ | 投資・税務知識 | 400万~2000万円 |
土地活用の売買提案 | ★★★★ | 相続・会計知識 | 500万~1800万円 |
中古物件の売買仲介 | ★★★ | 物件査定の知識 | 350万~1200万円 |
新築マンション販売 | ★★★ | 商品知識 | 400万~1500万円 |
賃貸仲介営業 | ★★ | 基礎知識のみ | 300万~800万円 |
ここからは、各職種の特徴と実態について詳しく見ていきましょう。
1-1.❶投資用マンション販売営業の実態とは?
投資用マンション販売営業は、不動産営業の中でも最もきついと言われる職種の一つです。その理由は、商品の特性と営業スタイルにあります。
投資用マンションは一般的に2,000万円から5,000万円という高額商品です。そのため、お客様の購入判断のハードルが非常に高く、慎重な検討が必要となります。
また、この職種の最大の特徴は、興味を持っていない方に対して営業をかけていく必要があるという点です。マイホーム購入とは異なり、投資用マンションの購入を自ら検討している方は限られています。そのため、見込み客の発掘から始める必要があり、1日に数百件の電話をかけることも珍しくありません。
ただし、このような厳しい環境だからこそ、正しい方法で取り組めば大きな成果を上げることができます。私の経験から、この職種で成功するためには以下の3つのポイントが重要です。
- 商品知識の徹底的な習得:投資としての価値、税制上のメリット、市場動向など
- 見込み客の的確な選定:資産状況や投資意欲を事前にしっかりと見極める
- 提案力の強化:お客様の状況に合わせた具体的な収支計算や将来シミュレーション
これらのポイントを押さえた上で、誠実な対応を心がければ、必ず成果を上げることができます。実際に、私が指導した営業マンの中には、入社1年目から年間10件以上の成約を達成している方もいます。大変な仕事ですが、その分やりがいと成長を実感できる職種でもあるのです。
1-2.❷土地活用の売買提案営業はどのくらいきつい?
投資用マンション販売営業に次いで、きついと言われているのが土地活用の売買提案営業です。この職種は、土地を所有しているオーナーに対して、その土地の活用方法を提案しながら売買交渉を進めていく仕事です。
この職種の特徴は、提案内容が多岐にわたることです。例えば、アパート建設、駐車場経営、太陽光発電など、様々な土地活用の方法があり、それぞれについて収支計算や税金対策まで含めた知識が必要となります。つまり、不動産の知識だけでなく、会計や税務、さらには相続対策などの幅広い知識が求められるのです。
また、土地活用の提案は一朝一夕には決まりません。オーナーの家族構成や将来の相続の問題なども考慮しながら、長期的な視点で提案を行う必要があります。そのため、1件の案件に対して数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。
1-3.❸中古物件の売買仲介営業の特徴
投資用マンション販売や土地活用提案と比較すると、中古物件の売買仲介営業は比較的取り組みやすい職種です。なぜなら、お客様自身が「中古物件を購入したい」という明確な意思を持って来店されるケースが多いからです。
ただし、この職種ならではの大変さもあります。まず、物件の価値を正確に見極める必要があります。築年数や立地、周辺環境、リフォームの必要性など、様々な要素を総合的に判断し、適正な価格で取引を進めなければなりません。
また、売主と買主の両方の希望を調整しながら取引を進める必要があります。価格や引き渡し時期、リフォームの範囲など、様々な条件で折り合いをつけていく必要があり、高度なコミュニケーション能力が求められます。
1-4.❹新築マンション販売営業の現状
新築マンション販売営業は、中古物件の売買仲介と同様に、比較的取り組みやすい職種の一つです。この職種の大きな特徴は、お客様の多くが購入意欲を持って来場されるということです。
モデルルームやショールームという商談しやすい環境で接客を行えることも、この職種の特徴です。また、物件の価格も決まっているため、価格交渉に悩まされることも少なく、商品知識さえしっかりと身につければ、比較的スムーズに商談を進めることができます。
ただし、この職種にも独自の大変さがあります。マンションの完成前に販売活動を行うため、お客様に完成後のイメージを正確に伝える必要があります。図面や完成予想図を使って、間取りや眺望、日当たりなどを分かりやすく説明する能力が求められます。
1-5.❺賃貸仲介営業の実情
賃貸仲介営業は、不動産営業の入門として位置づけられることが多い職種です。取扱物件の単価が比較的低く、契約までの期間も短いため、初心者でも取り組みやすいという特徴があります。
また、お客様の多くは既に入居を決意されている方なので、「なぜ引っ越すのか」「どんな物件を探しているのか」といった具体的なニーズを把握しやすいという利点もあります。さらに、一度信頼関係を築くことができれば、お客様の転勤や結婚などのタイミングで再度ご利用いただけるという、長期的な関係を築きやすい職種でもあります。
しかし、このように取り組みやすい反面、1件あたりの報酬が低いため、安定した収入を得るためには多くの契約をこなす必要があります。また、物件の内見や契約手続きなど、休日の対応が必須となるため、時間的な制約も大きいという特徴があります。
このように、不動産営業の各職種にはそれぞれの特徴と「きつさ」があります。ここまで見てきた各職種の実態を踏まえた上で、次は「きつさ」を克服して結果を出すために知っておくべきことをお伝えしていきます。
2.きつさを克服して結果を出すために知っておくべきこと
ここまで不動産営業の各職種における「きつさ」について詳しく見てきました。確かにそれぞれの職種には独自の大変さがありますが、営業の基本を理解し、正しい方法で取り組めば、必ず結果を出すことができます。
なぜなら、営業には誰もが実践できる明確な法則があるからです。ここからは、30年の営業経験で培った、不動産営業で成果を上げるための3つの重要なポイントをお伝えしていきます。
- 営業はサイエンスである:誰でも再現性のある科学として学べる
- 初回接客で9割は決まる:最初の接客が最も重要
- 雑談は2割でいきなり本題8割:効率的な商談進行が鍵
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.営業はサイエンスである
不動産営業を難しく感じる方の多くは、「営業は才能や特殊な技術が必要だ」と思い込んでいます。しかし、これは大きな誤解です。
営業は、再現性のある科学(サイエンス)なのです。口下手な方でも、人見知りの方でも、正しい理論とテクニックを学び、実践すれば、必ず結果を出すことができます。
私は数百名の営業マンを指導してきましたが、最初は成績が振るわなかった方でも、営業の基本を学び、実践することで、安定した成果を上げられるようになっています。大切なのは、感覚や勘に頼るのではなく、実証された方法論に従って行動することです。
例えば、今や私の会社でトップセールスとして活躍しているAさんは、営業未経験で入社した時、最初の3ヶ月間は1件も契約を取ることができませんでした。しかし、お客様との会話を全て記録し、成功する営業マンの商談の進め方を徹底的に学び実践することで、半年後には月に3件の契約を安定して獲得できるようになりました。今では年収1,000万円を超え、週末は家族との時間も大切にしながら、仕事と私生活の両立を実現しています。
大切なのは、「営業は学べる技術である」という事実です。正しい方法を学び、実践を重ねることで、誰でも必ず成長できるのです。
2-2.初回接客で9割は決まる
不動産営業で成果を上げるための最も重要なポイントは、初回の接客です。実は、不動産を購入されるお客様の9割は、初回の接客時点で購入を決断しているのです。
なぜなら、お客様は既に十分な情報収集をした上で来店されているからです。インターネットで様々な情報を比較検討し、ある程度の購入意思を持って来店されるケースがほとんどです。
そのため、初回の接客でお客様の期待に応えられなければ、その時点で購入意欲は大きく低下してしまいます。逆に、分かりやすい説明と的確な提案ができれば、その場で契約に至ることも珍しくありません。
2-3.雑談は2割でいきなり本題8割
不動産営業の現場でよく見かける失敗は、必要以上の雑談に時間を費やしてしまうことです。お客様との関係作りは大切ですが、長々とした世間話は逆効果です。
お客様は効率的な商談を望んでいます。最初に「本日は何のために来店されましたか?」と直接尋ねることで、スムーズに本題に入ることができます。経験則として、雑談は全体の2割程度に抑え、残りの8割は本題に充てるのが理想的です。
このように適切な時間配分で商談を進めることで、お客様の時間を無駄にせず、効率的に情報収集と提案ができるようになります。ひいては、お客様からの信頼獲得にもつながっていくのです。
3.不動産営業で成功する人の3つの特徴
これまでお伝えしてきた営業の基本を実践することで、不動産営業の「きつさ」は大きく軽減されます。ここからは、多くの営業マンを見てきた経験から、特に成果を上げている営業マンに共通する3つの特徴をお伝えしていきます。
- 誠実な対応を心がける人:顧客の立場に立った提案ができる
- 準備を徹底する人:商談以外の時間を準備に充てる
- 顧客目線で提案できる人:長期的な視点で最適な提案ができる
それぞれの特徴について、具体的に解説していきます。
3-1.誠実な対応を心がける人
不動産営業で長期的に成功している人に必ず共通しているのが、誠実な対応を心がけているという点です。不動産は人生で最も高額な買い物の一つであり、お客様は慎重に検討されます。
成功している営業マンは、売り上げや利益を優先するのではなく、お客様の立場に立って本当に価値のある提案をします。例えば、立地の良い物件であっても、お客様の予算や将来設計に合わない場合は、きちんとその理由を説明した上で、別の選択肢を提案します。
実際、私が指導した営業マンの中に、このような誠実な対応を徹底的に実践したBさんがいます。入社2年目の時、高額な物件を購入検討中のお客様に対して、「この物件は将来の資産価値を考えると、お客様には最適ではない」と正直に伝え、購入を思いとどまっていただいたことがありました。
一時的には大きな契約を逃すことになりましたが、そのお客様から「こんなに誠実な営業マンは初めてだ」と、多くのご友人を紹介していただくことになりました。その結果、Bさんは紹介案件だけで年間30件以上の契約を獲得し、年収2,000万円を達成。今では「紹介の絶えない営業マン」として、安定した収入を得ています。
このように、誠実な対応は一時的な売上を逃すことになるかもしれませんが、必ず信頼となって返ってきます。その信頼が、長期的な成功につながっているのです。
3-2.準備を徹底する人
成功している営業マンのもう一つの特徴は、商談のための準備を徹底的に行うということです。商談時間以外のほとんどを準備に充てていると言っても過言ではありません。
例えば、お客様との商談の前には、物件の周辺環境や今後の開発計画、類似物件の取引事例など、あらゆる情報を収集し整理します。お客様からどのような質問が来ても即答できる状態で商談に臨むのです。
なぜここまでの準備が必要なのか。それは、お客様の不安や疑問に的確に答えられる準備があってこそ、信頼関係を築くことができるからです。
3-3.顧客目線で提案できる人
成功している営業マンの三つ目の特徴は、常に顧客目線で考え、提案できることです。これは単に「お客様の言うことを聞く」ということではありません。
顧客目線で提案するとは、お客様が気づいていない潜在的なニーズまで考慮し、長期的な視点で最適な提案をすることです。例えば、家族構成の変化や将来の資産価値なども含めて、総合的な提案ができる人が成功しています。
また、お客様の予算や希望条件に合わせて、代替案を複数用意できることも重要です。このような提案力があってこそ、お客様から「この営業マンに任せて良かった」と思っていただけるのです。
4.不動産営業を成功に導く具体的な方法
ここまで、不動産営業の「きつさ」の実態や、成功する営業マンの特徴についてお伝えしてきました。では、具体的にどのように行動すれば良いのでしょうか。
ここからは、私が30年間の営業経験で培った、具体的な成功方法をお伝えしていきます。これらの方法は、数百名の営業マンを指導してきた中で、その効果が実証されているものばかりです。
4-1.事前準備の極意
不動産営業で結果を出すために最も重要なのが事前準備です。成功している営業マンは、商談時間以外のほとんどを準備に費やしています。
- 担当エリアの徹底的な調査
- 競合他社の物件情報の把握
- 価格相場の理解と分析
- お客様の質問への回答準備
まず必要なのは、担当エリアの徹底的な調査です。新しい道路計画や再開発情報、学区の評判、人気店の出店予定など、あらゆる情報を収集します。こういった情報は、お客様との会話の中で自然に出てくることで、信頼感を高めることができます。
次に、競合他社の物件情報も含めた価格相場の把握です。お客様は必ず他社の物件も検討されます。そのため、競合物件と比較した際の自社物件の強みと弱みを、具体的な数字を基に説明できる準備が必要です。
4-2.商談の進め方
実際の商談では、まず最初にお客様のニーズを正確に把握することが重要です。「どんな物件をお探しですか?」という漠然とした質問ではなく、「具体的な予算は決まっていますか?」「いつまでに入居をお考えですか?」など、具体的な質問を通じてお客様の要望を明確にしていきます。
また、商談中は必ずメモを取るようにしましょう。お客様の発言を書き留めることで、「しっかりと話を聞いてくれている」という印象を与えることができます。さらに、後日の商談でもお客様の要望を正確に思い出すことができます。
この際、気をつけたいのが質問の順番です。予算や希望条件といった具体的な内容に入る前に、「なぜ今、物件をお探しなのか?」といった動機を理解することで、より的確な提案ができるようになります。
4-3.クロージングまでの流れ
事前準備を整え、商談を適切に進められるようになったら、いよいよクロージング(契約)に向けた提案を行います。ここで重要なのは、初回の商談でクロージングまで持っていく意識を持つことです。
クロージングのタイミングは、お客様の反応を見ながら見極めていきます。「この物件、とても気に入りました」「家族に相談してみます」といった前向きな発言が出てきたら、その場で具体的な契約の提案をしていきましょう。
ただし、ここで気をつけたいのは、決して強引な売り込みをしてはいけないということです。お客様の立場に立って、「この物件を購入することで、お客様の人生がより豊かになる」という確信を持って提案することが大切です。
お客様が少しでも不安や迷いを感じておられる場合は、その不安要素を丁寧に解消していきます。最終的に、お客様自身が「この物件を購入して良かった」と心から思っていただけることが、不動産営業の醍醐味なのです。
おわりに
不動産営業は確かに「きつい」と言われる職種です。しかし、それは裏を返せば、誰もが簡単には成功できない、やりがいのある仕事だということでもあります。
営業はサイエンスです。正しい理論と方法論を学び、実践することで、誰でも必ず結果を出すことができます。そして、その結果は単なる売上や収入だけではありません。お客様の人生の大きな決断に寄り添い、その決断が正しかったと喜んでいただけることこそ、不動産営業の本当の醍醐味なのです。
私が指導してきた多くの営業マンが、今では年収1,000万円を超える収入を得ながら、充実した私生活も送っています。平日は期待を込めてご来店されるお客様と商談を重ね、休日は家族との時間を大切にする。夏には家族で海外旅行に行き、子どもの学校行事にも参加できる。このような理想的なワークライフバランスを実現している方が大勢いるのです。
さらに、営業職として成功を収めた後は、マネージャーとしてチームを率いたり、独立して自分の会社を持ったりと、キャリアの可能性も大きく広がります。実際、私が指導した営業マンの中には、今では年商10億円を超える会社の経営者として活躍している方もいます。
不動産営業で本当に大切なのは、お客様の人生をより豊かにするという使命感を持って、誠実に仕事に取り組むことです。そのような姿勢で仕事に向き合えば、「きつい」と感じる場面があったとしても、必ず乗り越えていけるはずです。
あなたも、この記事でお伝えした具体的な方法を実践しながら、不動産営業という素晴らしい仕事で、成功を収めていってください。その先には、きっと充実した人生が待っているはずです。
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