不動産営業の種類ってたくさんあるけど、自分に合うのはどれだろう…?この記事を読んでいるあなたは、不動産業界での営業職に興味を持っている、または現在不動産営業として働いており、自分のキャリアパスについて考えているのではないでしょうか。
不動産営業と一口に言っても、実はさまざまな種類があります。それぞれに特徴や必要なスキル、年収の見通しが異なるため、どの種類が自分に合っているのか迷うこともあるでしょう。
私は大学卒業後、22歳でゴルフ会員権の売買営業に従事し、5年後に不動産営業へと転身しました。これまでプレイヤーとして15年、マネージャーとして15年、合計30年にわたり営業の最前線で活動してきました。この経験から言えることは、不動産営業は「サイエンス」であり、才能や特殊な技術ではなく、原理原則と法則に基づく再現性のある科学だということです。
厚生労働省の調査によると、不動産営業職の平均年収は579.5万円、平均労働時間は月170時間と報告されています。しかし実際には、営業の種類や個人のスキル次第で、年収1000万円を超えるトップセールスになることも十分可能です。
本記事では、不動産営業の主な種類とその特徴、自分に合った種類の見極め方、そして成功するためのポイントについて解説します。「どの種類が向いているか分からない」「今の営業スタイルで結果が出ない」という悩みを抱えているあなたに、具体的な道筋を示していきます。
- 不動産営業の6つの主な種類と各々の特徴、収入の見込み
- 自分に合った不動産営業の種類を見極める3つの基準
- 不動産営業で成功するための具体的な方法と勘違いしやすいポイント
- 将来性のある不動産営業の種類と成功の秘訣
1.不動産営業の主な6種類と年収・仕事内容
不動産営業には大きく分けて6つの種類があります。それぞれ扱う物件や取引形態、顧客層が異なるため、仕事内容や必要なスキル、収入構造も変わってきます。最初にそれぞれの特徴を簡潔に紹介しましょう。
- 戸建て・分譲マンション販売営業
- 賃貸仲介営業
- 売買仲介営業
- 投資用不動産営業
- 土地活用営業
- リフォーム・リノベーション営業
それぞれを詳しく解説する前に、各営業種類の年収の目安を比較表にまとめました。一般的な年収幅とトップクラスの場合の年収を示しています。
営業種類 | 一般的な年収幅 | トップクラスの年収 |
---|---|---|
戸建て・分譲マンション販売営業 | 400〜700万円 | 1000万円以上 |
賃貸仲介営業 | 400〜600万円 | 800万円以上 |
売買仲介営業 | 500〜800万円 | 1000万円以上 |
投資用不動産営業 | 600〜1200万円 | 2000万円以上 |
土地活用営業 | 500〜900万円 | 1000万円以上 |
リフォーム・リノベーション営業 | 400〜700万円 | 800万円以上 |
それでは、これらの営業種類について詳しく見ていきましょう。
1-1.戸建て・分譲マンション販売営業
戸建て・分譲マンション販売営業は、自社やグループ会社が開発した住宅を販売する仕事です。モデルハウスや販売センターを拠点に、来場した顧客へのプレゼンテーション、物件案内、資金計画の提案などを行います。
この営業の特徴は、販売する商品(住宅)がすでに決まっており、その商品をいかに魅力的に伝えるかがカギとなる点です。商品知識をしっかり身につけ、顧客のライフスタイルに合わせた提案力が求められます。
年収は基本給+インセンティブの構成が多く、一般的に年収400〜700万円程度ですが、高額物件を扱うディベロッパーやハウスメーカーでは、年間1000万円を超えるトップセールスも珍しくありません。
1-2.賃貸仲介営業
賃貸仲介営業は、入居希望者と物件オーナーをマッチングさせる仕事です。店舗に来店したお客様の希望条件をヒアリングし、適切な物件を紹介して契約に結びつけます。
この営業の最大の特徴は、取引サイクルが非常に短く、成約までのスピードが速い点です。条件が合えば即日契約も可能なため、短期間で多くの成果を上げることができます。また、単価は低いものの、数をこなすことで安定した収入を得られるのも特徴です。
エリアの物件情報に精通していることはもちろん、お客様の本当のニーズを引き出すヒアリング力とスピーディーな対応力が求められます。年収は400〜600万円が一般的ですが、繁華街や人気エリアの店舗では、月に10件以上の成約を上げるトップ営業マンは年収800万円以上も可能です。
1-3.売買仲介営業
売買仲介営業は、不動産を「売りたい人」と「買いたい人」をマッチングさせる仕事です。売主からの物件情報を集め、買主に紹介することで仲介手数料を得るビジネスモデルです。
この営業の特徴は、単価が高く、1件の成約で大きな収入になる点です。取引⾦額の3%+6万円(税別)が上限の仲介⼿数料となるため、例えば5000万円の物件であれば約156万円の手数料収入となります。
売買仲介営業では、物件の情報収集力、価格査定能力、契約に関する法律知識など、幅広い専門知識が必要です。また、売主と買主双方の信頼を得るためのコミュニケーション能力も不可欠です。年収は経験やエリアによって大きく異なりますが、一般的に500〜800万円程度で、トップクラスになると1000万円を超えることも珍しくありません。
1-4.投資用不動産営業
投資用不動産営業は、収益物件を投資目的で購入したいクライアントに対して、物件の提案から購入後のサポートまでを行う仕事です。主に富裕層や法人を対象とした営業活動を行います。
この営業の最大の特徴は、扱う金額が大きく、クライアントの資産形成や節税対策など、投資判断に直結するアドバイスが求められる点です。そのため、不動産の知識だけでなく、税金や金融、相続などの幅広い知識が必要になります。
投資用不動産営業は単価が非常に高いため、1件の成約で大きな収入を得ることができます。例えば、1億円のアパートを販売すれば、300万円以上の手数料収入となることも珍しくありません。年収は経験やコネクションによって大きく変わりますが、600〜1200万円程度が一般的で、トップクラスになると年収2000万円を超える人もいます。
1-5.土地活用営業
土地活用営業は、土地所有者に対して、その土地を最も効果的に活用する方法を提案する仕事です。アパート・マンション建設、駐車場経営、店舗開発など、土地の立地や条件に合わせた活用方法を提案します。
この営業の特徴は、土地所有者の長期的な資産活用を支援する点にあります。そのため、単なる販売ではなく、コンサルティング的な要素が強く、専門性の高い提案力が求められます。
土地活用営業では、都市計画や建築基準法などの法規制の知識、収益シミュレーション能力、税務知識などが必要です。また、長期的な関係構築が大切なため、アフターフォロー力も重要になります。年収は500〜900万円程度が一般的ですが、大型案件を継続的に獲得できれば1000万円を超えることも可能です。
1-6.リフォーム・リノベーション営業
リフォーム・リノベーション営業は、既存住宅のオーナーや購入者に対して、改修プランの提案から工事の手配、完了までをサポートする仕事です。
この営業の特徴は、顧客の理想の住まいを実現するための具体的な提案力とデザイン力が求められる点です。また、施工会社とのコーディネート能力も重要になります。
必要なスキルとしては、建築や設備に関する知識、デザインセンス、コスト管理能力などが挙げられます。また、リフォーム後のイメージを伝えるプレゼンテーション力も大切です。年収は400〜700万円程度が一般的ですが、高額案件を扱うハイエンド市場では800万円以上も可能です。
ここまで不動産営業の6つの種類について説明してきましたが、次は「どの種類があなたに合っているのか」という点に焦点を当てていきましょう。適性や目標に合った営業種類を選ぶことが、長期的な成功の鍵となります。
2.あなたに合った不動産営業の種類を見極める3つの基準
不動産営業の種類を把握したところで、次はあなた自身にどの種類が合っているのかを見極める基準について解説します。正しい選択をするために、以下の3つの視点から自分に合った営業種類を検討しましょう。
2-1.ビジネスサイクルの長さで選ぶ
不動産営業の種類によって、成約までのビジネスサイクル(期間)は大きく異なります。このサイクルの長さは、あなたの性格や働き方の希望に合わせて選ぶ重要な要素です。以下の図は、各営業種類のビジネスサイクルの長さを比較したものです。

賃貸仲介営業は最もサイクルが短く、来店から契約まで数日〜2週間程度で完結することが多いです。短期間で結果が出るため、即時的な成果を求める方や、コツコツと数をこなすことが得意な方に向いています。「すぐに結果が欲しい」「達成感を頻繁に味わいたい」という方には、このタイプの営業がおすすめです。
一方、土地活用営業や投資用不動産営業は、成約までに半年〜数年かかるケースも珍しくありません。プラン提案から顧客の意思決定、金融機関との調整、契約、そして建築や引き渡しまで、長期にわたるプロセスを辛抱強く進める必要があります。「じっくり腰を据えて取り組みたい」「深い信頼関係を築きながら仕事をしたい」という方に向いています。
戸建て・分譲マンション販売や売買仲介営業は、その中間的な位置づけで、一般的に1〜3ヶ月程度のサイクルです。ある程度のスピード感を持ちながらも、顧客との関係構築にも時間をかけられるバランスの取れた営業と言えるでしょう。
私の経験から言えることは、短いサイクルの営業は素早く多くの経験を積める一方、長いサイクルの営業はより専門性を高め、大きな案件に挑戦できるという点です。自分のペースや性格に合った営業種類を選ぶことで、ストレスを減らし、長期的に活躍することができるでしょう。
2-2.必要なスキルセットで選ぶ
ビジネスサイクルと並んで重要なのが、あなた自身の持つスキルと各営業種類で求められるスキルのマッチングです。それぞれの不動産営業には特有のスキルセットが必要となります。
賃貸仲介営業では、短時間で顧客のニーズを引き出すヒアリング力と即座に最適な物件を提案する判断力が重要です。また、契約までのスピードが勝負となるため、素早い行動力も求められます。社交的で機転が利く人に向いている営業種類といえるでしょう。
売買仲介営業では、物件の価値を正確に評価する査定能力や法律・税務の知識が必須です。また、売主と買主の双方と信頼関係を築く高いコミュニケーション能力も求められます。分析力と対人スキルのバランスが取れている人に適しています。
投資用不動産営業は最も専門性が高く、不動産投資の知識はもちろん、税務・金融・相続などの幅広い知識が必要です。また、富裕層や法人を相手にするため、高いプレゼンテーション能力や専門家としての説得力も求められます。論理的思考力と専門知識の習得に意欲がある人に向いています。
リフォーム・リノベーション営業では、建築や設備に関する知識に加え、顧客の理想を形にするデザインセンスや提案力が重要です。また、施工会社との調整役となるため、プロジェクトマネジメント能力も必要となります。クリエイティブな発想と実務的な調整能力を併せ持つ人に適しています。
自分の得意分野や向上させたいスキルを考慮して、最適な営業種類を選ぶことで、より早く成果を上げることができるでしょう。もちろん、必要なスキルは入社後に身につけることも可能ですが、もともとの適性がある分野を選ぶことで、上達のスピードが格段に違ってきます。
2-3.収入の安定性と上限で選ぶ
不動産営業を選ぶ際の3つ目の基準は、収入の安定性と上限です。安定した収入を得たいのか、それとも上限を気にせず高収入を目指したいのかによって、選ぶべき営業種類は変わってきます。
賃貸仲介営業は、1件あたりの手数料は低いものの、成約件数が多いため比較的安定した収入が期待できます。特に人口の多いエリアでは、常に一定の需要があるため、月ごとの収入の変動が少ない傾向にあります。ただし、単価が低いため、年収の上限は他の営業種類と比べて低めです。安定志向の方や、まずは確実に結果を出して自信をつけたい方に向いています。
一方、投資用不動産営業や土地活用営業は、1件あたりの収入が非常に大きいため、年収の上限が高いのが特徴です。しかし、成約までの期間が長く、案件数も限られるため、収入の変動が大きくなりがちです。月によって大きく収入が変わることを許容できる方や、高収入を目指して挑戦したい方に適しています。
戸建て・分譲マンション販売や売買仲介営業は、その中間的な位置づけで、ある程度の安定性と高い上限を両立しています。特に実力のある営業マンになると、紹介やリピートのお客様も増え、より安定した高収入が期待できます。
国税庁の調査によると、不動産業界全体の平均年収は426万円とされていますが、営業職に限ると厚生労働省の調査では579.5万円と報告されています。ただし、これはあくまで平均値であり、実力次第ではどの営業種類でも平均を大きく上回る収入を得ることが可能です。
自分のライフスタイルや金銭的な目標に合わせて、収入の安定性と上限のバランスを考慮した営業種類を選ぶことが大切です。
3.初心者が陥りやすい3つの勘違いと成功のヒント
不動産営業の種類と選び方について理解したところで、ここからは多くの初心者が陥りやすい勘違いと、その解決策についてお話しします。私が30年間の営業経験の中で見てきた数百名の営業マンの成功と失敗から導き出した、実践的なアドバイスです。
3-1.種類選びより大切な「初回接客」の重要性
多くの初心者が「自分に合った営業種類を見つければ成功する」と考えがちですが、実はどの種類を選ぶかよりも、「初回接客」の質の方がはるかに重要です。私の経験では、高額商品の購入を決断する顧客の9割は、初回の接客時に無意識のうちに購入を決めています。
初回接客の時点で、顧客は営業マンの対応、説明の分かりやすさ、信頼感などをシビアに判断しています。一度でもズレた回答をすると、顧客の購入意欲は急激に下がってしまいます。逆に、顧客が求める情報を的確に提供し、強い信頼感を与えることができれば、契約へとスムーズに進むことができます。
「初回接客こそが営業の9割を占める」と考え、初回の接客に全力を注ぐことが、どの営業種類でも成功するための鍵となります。具体的には、相手の質問に対して誠実に答え、知らないことは調べて必ず回答する姿勢、適切な情報提供、そして相手の立場に立った提案が重要です。
そのためには、初回接客の前に徹底的な準備をすることが不可欠です。商品知識はもちろん、顧客の背景、競合情報、成約事例など、あらゆる情報を収集しておきましょう。そうすれば、顧客からの質問にも自信を持って応えられ、信頼を勝ち取ることができます。
3-2.「人間関係」より「営業の基本」が結果を左右する
不動産営業の世界では「コネや人間関係が大事」という考え方が根強く残っています。確かに人脈は重要ですが、本当に結果を左右するのは「営業の基本」をどれだけ徹底できるかという点です。
「営業はサイエンスである」という考え方が重要です。つまり、営業は特別な才能や人脈ではなく、原理原則と法則に基づく再現性のある科学なのです。適切な準備、正確な情報提供、顧客のニーズに合わせた提案など、基本的なプロセスを徹底することが、最終的に大きな結果の差となって現れます。
例えば、売買仲介営業では「どんな物件があるか」より「どうやって顧客のニーズを正確に把握するか」が重要です。賃貸仲介営業では「物件数の多さ」より「顧客の優先順位を見極める力」が成約率を左右します。投資用不動産営業では「知り合いの富裕層の数」より「投資判断に必要な情報をどれだけ正確に提供できるか」が決め手となります。
初心者の段階では人脈も限られているため、基本に忠実に取り組むことで着実に結果を出していくことが重要です。基本を徹底すれば、口コミや紹介も自然と増えていきます。
3-3.不動産営業成功の絶対法則「準備8割:商談2割」
不動産営業で成功する人と失敗する人の決定的な違いは、「接客時間以外の時間をどう使うか」にあります。成功する営業マンは「準備8割:商談2割」の法則を実践していますが、多くの初心者はこの比率を逆に考えてしまいます。
トップセールスは顧客との商談時間よりも、商談前の準備に圧倒的に多くの時間を費やしています。例えば、市場動向の分析、競合情報の収集、顧客の背景調査、提案資料の作成、価格交渉のシミュレーションなど、あらゆる準備を徹底的に行います。
特に重要なのは、顧客からのどんな質問にも答えられるよう準備しておくことです。「この地域の相場は?」「この物件の将来価値は?」「ローンの返済計画は?」など、想定される質問に対する回答を事前に用意しておけば、商談の場で自信を持って対応できます。
また、競合他社の情報も徹底的に収集しておくことが重要です。自社の物件や商品の強みを、競合と比較して明確に説明できれば、顧客の判断材料として非常に役立ちます。
まさに「準備の質が結果を決める」のです。接客の時間以外を、いかに効果的な準備に充てられるかが、不動産営業成功の絶対法則と言えるでしょう。
4.不動産営業30年のプロが教える種類別・成功の秘訣
これまでの章で不動産営業の種類と選び方、そして成功するための基本的な考え方について解説してきました。ここからは、私が30年の営業経験で培った具体的な成功の秘訣をお伝えします。まずは、どの営業種類でも共通して重要な5つのポイントについて解説します。
4-1.営業種類に関わらず成功する5つの共通点
不動産営業の種類は様々ですが、どの種類でも成功している人には共通点があります。以下の5つのポイントは、私が数多くのトップセールスを観察して導き出した成功の法則です。
- 顧客を親だと思える姿勢
- 小さな嘘をつかない誠実さ
- 見た目の徹底管理
- 資料の組み合わせ
- 商品より自分を選ばせる意識
それでは、これらのポイントについて詳しく解説していきます。
顧客を親だと思える姿勢
顧客に対して遠慮しすぎることなく、親や兄弟に対するように「本当に役立つ情報」を提供する姿勢が信頼を生みます。例えば「この物件はこの点が良くないので、別のこちらをお勧めします」というような、時に厳しい本音のアドバイスができる営業マンは、長期的な信頼関係を築くことができます。
小さな嘘をつかない誠実さ
初回接客時に顧客の期待に応えようとして、誤った情報を伝えてしまう営業マンがいますが、それは信頼を損なう最大の要因となります。不明点は「調べてから正確にお答えします」と伝える誠実さが、逆に顧客からの信頼を高めます。
見た目の徹底管理
第一印象は出会って数秒で決まり、視覚情報が大きな影響を与えます。服装や身だしなみが整っている営業マンは信頼感を得やすく、自然に自信も高まります。初回接客では特に見た目の印象が重要なので、身だしなみには細心の注意を払いましょう。
資料の組み合わせ
綺麗に印刷された資料と手書きの図表を組み合わせることで、専門性と親近感の両方を演出できます。例えば、パンフレットの説明後に白紙に手書きで図や計算を示すと、顧客は「この人はプロ意識が高い」と感じます。
商品より自分を選ばせる
特に高額な不動産取引では「この営業マンだから契約した」という顧客心理が強く働きます。商品の説明以上に、顧客の話をしっかり聞き、質問に的確に答え、誠実な態度で接することが、顧客から選ばれる営業マンになる秘訣です。
これらの5つのポイントは、どの不動産営業でも成功するための共通基盤となります。続いて、各営業種類別の具体的な成功戦略について解説します。
4-2.それぞれの営業種類で成功するための具体策
ここからは、各不動産営業の種類別に、具体的な成功戦略をお伝えします。それぞれの営業特性に合わせた実践的なアドバイスなので、ぜひ参考にしてください。
- 賃貸仲介営業:スピードと情報量が勝負
- 売買仲介営業:「査定力」と「情報のストック」が重要
- 投資用不動産営業:数字に基づいた冷静な分析と提案が決め手
- リフォーム・リノベーション営業:「ビフォーアフター」の具体的なイメージを伝える力
それでは、それぞれの戦略について詳しく見ていきましょう。
賃貸仲介営業:スピードと情報量が勝負
賃貸仲介営業では、スピードと情報量が勝負です。客付けの場合、問い合わせから15分以内の返答を心がけましょう。また、物件の基本情報だけでなく、周辺環境や口コミ情報など、通常のポータルサイトには載っていない情報を提供することで差別化が図れます。物件オーナー向けの営業では、具体的な収支シミュレーションと管理実績の提示が効果的です。
売買仲介営業:「査定力」と「情報のストック」が重要
売買仲介営業で重要なのは、「査定力」と「情報のストック」です。売主に対しては、市場動向に基づいた正確な査定価格を提示し、根拠を丁寧に説明することで信頼を獲得します。買主には、公開前の物件情報や希少性の高い物件情報をいち早く提供できる体制を整えることが重要です。そのためには、日頃からの情報収集と整理が欠かせません。
投資用不動産営業:数字に基づいた冷静な分析と提案が決め手
投資用不動産営業では、数字に基づいた冷静な分析と提案が決め手となります。投資家は感情ではなく、利回りやキャッシュフロー、将来の価値変動などの数字で判断します。投資判断に必要な情報を網羅した資料を用意し、リスクも含めて正直に伝えることで信頼を得られます。また、税金や相続などの知識も必須なので、専門家との連携も大切です。
リフォーム・リノベーション営業:「ビフォーアフター」の具体的なイメージを伝える力
リフォーム・リノベーション営業で成功するには、「ビフォーアフター」の具体的なイメージを伝える力が重要です。写真や図面だけでなく、実際の事例を見学できる機会を設けたり、3D画像やVRを活用したりして、完成イメージを具体的に伝えましょう。また、予算内でできることとできないことを明確に伝え、顧客の期待値を適切に管理することも重要です。
どの営業種類でも共通して言えることは、「情報の質と量」が成約率を大きく左右するということです。一般的な情報ではなく、その顧客だけのためにカスタマイズされた情報を提供することで、成約への道が開けます。
4-3.私が考える最も将来性のある不動産営業とは
不動産業界は今後、大きな変化を迎えると予想されます。少子高齢化、空き家の増加、働き方改革など、様々な社会変化に対応できる営業スタイルが求められる時代です。
私が考える最も将来性のある不動産営業は、「既存住宅のストックビジネス」に関わる営業です。具体的には、リフォーム・リノベーション営業や中古住宅の売買仲介営業が挙げられます。
国土交通省の資料によると、日本の不動産ストック総額は2,606兆円に達し、国民資産の23.9%を占めています。この膨大なストックを活用するビジネスは、新築住宅の供給が減少する中でも安定した需要が見込めます。
特にリノベーション市場は今後さらに拡大すると予想されています。古い住宅を現代のライフスタイルに合わせて再生することで、新たな価値を創出するこのビジネスは、環境にも配慮した持続可能なモデルとして注目されています。
また、投資用不動産営業も将来性があります。特に富裕層向けの相続対策や資産形成としての不動産投資ニーズは、今後も安定して存在するでしょう。ただし、この分野で成功するには、不動産だけでなく、税務、金融、相続などの幅広い知識が必要です。
重要なのは、単なる「物件の売買」ではなく、「顧客の課題解決」に焦点を当てた営業スタイルに転換することです。例えば、高齢者の住み替え支援、相続問題の解決、空き家の活用提案など、顧客が抱える課題に対してトータルなソリューションを提供できる営業マンが求められています。
これからの不動産営業は、「モノを売る」から「解決策を提案する」へと進化していく必要があります。そのためには、常に学び続け、専門性を高めていくことが不可欠です。
おわりに
本記事では、不動産営業の主な6種類とその特徴、自分に合った種類の選び方、成功するための考え方と具体的な戦略について解説してきました。
不動産営業という仕事は、単なる「物件を売る」仕事ではなく、顧客の人生の重要な決断をサポートする非常にやりがいのある仕事です。住まいや投資物件の選択は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物の一つであり、その決断に関わることができるのは大きな責任であると同時に、素晴らしい喜びでもあります。
どの営業種類を選ぶにせよ、大切なのは「顧客に真の価値を提供する」という姿勢です。顧客の立場に立ち、誠実に、そして情熱を持って仕事に取り組むことが、最終的には自分自身の成功にもつながります。
また、30年間の営業経験から言えることは、営業は「サイエンス」であり、正しい理論とテクニックを学べば誰でも結果を出せるということです。口下手や人見知りといった性格は、必ずしもマイナスにはなりません。むしろ、謙虚に学び、基本を徹底することで、どんな人でも成功への道を歩むことができます。
不動産営業の世界は、努力次第で大きな達成感と経済的成功を得られる素晴らしいフィールドです。この記事がみなさんの営業活動の一助となれば幸いです。
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