「今の営業の仕事を一生続けるべきなのか」「違う部署に異動したほうがいいのか」「このまま営業職を続けても将来は大丈夫なのか」。営業職の方なら、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
私は大手ハウスメーカーの営業所長として30年の経験を持ち、売れない営業マンを売れる営業マンに変えることを得意としています。これまでの経験から、多くの営業マンが将来への不安を抱えながら日々の業務に取り組んでいる現状を目の当たりにしてきました。
しかし営業職には、他の職種には無い大きな可能性があります。なぜなら、営業職は学歴や資格に関係なく、実力さえあれば大きな収入を得られる数少ない職種だからです。実際に厚生労働省の調査でも、営業職の有効求人倍率は2.14倍と、全職種平均の1.19倍を大きく上回っています。つまり、営業の仕事は今後も需要が高く、成長の機会が豊富にある職種なのです。
この記事では、営業職のキャリアプランについて具体的な選択肢とその実現方法をお伝えしていきます。さらに、私の30年の経験から見えてきた、本当の意味での成功への道筋もご紹介します。
- 営業職の主な4つのキャリアパス
- それぞれのキャリアパスのメリット・デメリット
- 営業職で成功するために必要なこと
- 将来の選択肢を広げる具体的な方法
1.基本的な営業職のキャリアプラン4パターン
営業職には大きく分けて4つのキャリアプランがあります。まずは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
- マネージャー(管理職)への昇進
- 営業のプロフェッショナルとしての道
- 営業スキルを活かした独立起業
- 社内の他部門への異動・転換
どの道を選ぶにしても、まずは基本を押さえることが重要です。それでは、一つひとつ詳しく解説していきます。
1-1.マネージャー(管理職)への昇進
マネージャーへの昇進は、多くの営業マンが目指すキャリアパスの一つです。マイナビ転職の調査によると、営業マネージャーの平均年収は1,046万円と、高い収入が期待できます。
しかし、マネージャーには営業の実績だけでなく、人材育成やチームマネジメントのスキルが求められます。私の経験から言えば、優秀な営業マンが必ずしも良いマネージャーになれるわけではありません。
マネージャーを目指す場合は、日々の営業活動の中で、後輩の指導や育成にも積極的に関わっていく必要があります。また、数字の管理や予算の策定など、経営的な視点も必要になってきます。そのため、若いうちから会社全体の業績に目を向け、組織としての成果を意識することが重要です。
1-2.営業のプロフェッショナルとしての道
マネージャーへの昇進とは別に、営業のスペシャリストとして活躍する道もあります。この道を選ぶ営業マンは、特定の商品や業界に関する深い専門知識と、圧倒的な営業スキルを武器に成果を上げていきます。
私の30年の経験から言えることですが、プロフェッショナルとしての営業マンは、年齢に関係なく高い実績を上げ続けることができます。マネージャーのように部下の管理や組織運営に時間を取られることがないため、自分の営業スキルを磨くことに集中できるのです。
また、営業のプロフェッショナルは、会社からの信頼も厚く、自分のペースで仕事を進められる自由度の高さも魅力の一つです。時には会社の看板商品の開発にも関わるなど、営業の枠を超えた活躍の機会も増えていきます。
1-3.営業スキルを活かした独立起業
営業で培ったスキルと人脈を活かして、独立起業する道も考えられます。多くの営業マンが、この選択肢に憧れを抱いているのではないでしょうか。
しかし、ここで重要なのは「独立ありき」で考えないことです。私が見てきた成功例に共通するのは、まず本業の営業で十分な実績を積み、必要な資金と経験を蓄えてから独立を目指すというステップを踏んでいることです。
独立後の事業形態も様々です。取引先の代理店として独立したり、コンサルタントとして活動したり、あるいは全く新しいビジネスを立ち上げたりと、選択肢は広がっています。大切なのは、「早く独立したい」という焦りではなく、独立後の具体的なビジョンを持つことです。
1-4.社内の他部門への異動・転換
営業経験を活かして、社内の他部門へ異動するキャリアプランもあります。特に商品企画やマーケティング部門では、営業経験者の視点が重宝されます。
なぜなら、営業マンは顧客の生の声を直接聞き、市場のニーズを肌で感じているからです。この経験は、商品開発やマーケティング戦略の立案において、非常に価値のある情報源となります。
ただし、このキャリアプランを選ぶ場合は慎重な判断が必要です。営業職は収入面で他の職種より優位に立てる可能性が高いため、異動によって収入が下がるケースも考えられます。そのため、単なる逃げ道として他部門への異動を選ぶのではなく、自分の強みを最大限に活かせる場所なのかをしっかりと見極める必要があります。
2.本当に稼げる営業キャリアとは
ここまで4つの基本的なキャリアプランをご紹介してきましたが、どの道を選ぶにしても、まず本業の営業で成功することが重要です。成功への近道は、様々な可能性を同時に追いかけることではなく、目の前の仕事で結果を出すことなのです。
2-1.なぜ本業の営業で成功を目指すべきなのか
副業や転職といった選択肢に目を向ける前に、本業の営業で成功を目指すべき理由があります。それは営業職が「学歴や資格に関係なく、実力だけで大きな収入を得られる」数少ない職種だからです。
私の30年の経験から言えることですが、営業職は自分の努力が確実に結果として表れる仕事です。実際に、営業マネージャーの平均年収は1,046万円にものぼります。このような高収入を得られる職種は、決して多くありません。
さらに重要なのは、本業での成功体験が、その後のキャリアの可能性を大きく広げるということです。なぜなら、営業で培ったスキルや経験、そして何より実績は、どのような道に進むにしても強力な武器となるからです。
2-2.月収100万円を達成する具体的なステップ
では、具体的にどのように収入を上げていけばよいのでしょうか。
月収100万円という目標は、決して夢物語ではありません。その実現のために必要な3つのステップをご紹介します。
- 【Step1】徹底的な商談準備で初回での成約率を上げる
- 【Step2】顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力を磨く
- 【Step3】信頼関係を築くコミュニケーション能力を向上させる
【Step1】徹底的な商談準備で初回での成約率を上げる
高額商品の購入を決める顧客の9割が、初回の商談で契約を決めています。そのため、初回商談での準備と対応が、成功の鍵を握っているのです。
【Step2】顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力を磨く
商品知識はもちろんのこと、顧客の本当の課題や願望を理解し、それに応える提案ができるスキルを身につけることが重要です。
【Step3】信頼関係を築くコミュニケーション能力を向上させる
これらのスキルは、意識的な練習と実践を重ねることで、必ず身につけることができます。日々の商談で、少しずつでも成長を実感しながら進んでいきましょう。
2-3.「売れる営業」になるための必須スキル
「売れる営業」になるために最も重要なのは、顧客の本当の課題を見抜く力です。表面的なニーズに応えるだけでなく、その奥にある本質的な課題を理解し、解決策を提案できる営業マンが、高い成果を上げています。
例えば、住宅の営業では「家を買いたい」という表面的なニーズの裏に、「家族との時間を大切にしたい」「将来の資産を築きたい」といった本質的な願望が隠れています。このような深いニーズを理解し、それに応える提案ができれば、自然と契約につながっていきます。
また、誠実さと率直さも重要なスキルです。一時的な売上を追うのではなく、顧客にとって本当に価値のある提案をすることで、長期的な信頼関係を築くことができます。この信頼関係こそが、安定した高収入への近道となるのです。
3.営業職30年で見えてきた成功の法則
ここまで、本業での成功とそのために必要なスキルについてお話ししてきました。ここからは、私が30年の営業経験で実際に見てきた、成功する営業マンに共通する法則をお伝えしていきます。これらは単なる理論ではなく、実践の中で証明されてきた成功への道筋です。
3-1.初回商談で結果を出す重要性
商談において、最も重要なのは初回の面談です。私の経験では、高額商品の購入を決める顧客の9割が、初回の商談で心理的な契約を済ませています。2回目、3回目と商談を重ねるほど、むしろ成約率は下がっていくのです。
なぜなら、初回商談は顧客の期待が最も高い時期だからです。顧客は「この商品が自分に合っているかどうか」を確かめるために来店します。この時、顧客の不安や期待に的確に応えられれば、その場で決断を後押しすることができます。
逆に、初回で期待に応えられなければ、顧客は他社との比較を始めます。そうなると、価格競争に巻き込まれたり、決断が先延ばしになったりしてしまいます。そのため、初回商談での準備と対応が、成功の鍵を握っているのです。
3-2.商品知識より大切なヒアリング力
多くの営業マンは商品知識の習得に力を入れますが、実は成功する営業マンに共通しているのは、優れたヒアリング力です。商品の特徴を一方的に説明するのではなく、顧客の本当のニーズを引き出すことができる人が、高い成果を上げています。
例えば、「価格が安い商品を探している」という顧客に対して、すぐに安価な商品を提案するのではなく、なぜ価格を重視するのか、どのような目的で商品を探しているのかを丁寧に聞き出します。そうすることで、顧客自身も気づいていない本質的なニーズが見えてくるのです。
この過程で重要なのは、先入観を持たずに、顧客の言葉に真摯に耳を傾けることです。表面的な会話で済ませてしまうと、本当の課題を見逃してしまう可能性があります。
3-3.お客様から選ばれる営業マンの共通点
成功している営業マンには、次のような共通点があります。
- 誠実さと率直さを兼ね備えている
- 顧客の本質的なニーズを理解している
- 長期的な信頼関係を重視している
誠実さと率直さを兼ね備えている
誠実さとは、顧客の利益を第一に考え、時には「この商品はお客様には合わないかもしれません」と正直に伝える勇気を持つことです。率直さとは、都合の悪い情報も隠さず、顧客が正しい判断をできるように必要な情報を提供することです。
顧客の本質的なニーズを理解している
表面的な要望だけでなく、その背景にある真の課題や願望を理解し、それに応える提案ができる営業マンが高い成果を上げています。
長期的な信頼関係を重視している
一時的な売上を追うのではなく、顧客との長期的な信頼関係を築くことで、継続的な取引や紹介につながっていきます。実際に、私が見てきた成功している営業マンの多くは、既存顧客からの紹介で新規顧客を獲得し、安定した成果を上げ続けています。
4.営業で成功した先にある選択肢
ここまで、営業職で成功するための具体的な方法についてお話ししてきました。では、営業で成功を収めた後には、どのような可能性が広がっているのでしょうか。成功は、新たな選択肢への扉を開く鍵となります。
4-1.経済的自由度を手に入れる意味
営業職での成功が意味するのは、単なる高収入ではありません。それは、自分の人生の選択肢を大きく広げる「経済的自由度」を手に入れることです。
経済的自由度とは、お金の心配をせずに自分のやりたいことに挑戦できる状態のことです。営業職は他の職種に比べて、比較的若いうちからこの自由度を手に入れることができます。
ただし重要なのは、この自由度は「本業での成功」があってこそ実現できるということです。早期退職や副業に走るのではなく、まずは本業で成果を出し、着実に経済基盤を築くことが、本当の意味での自由への近道となります。
4-2.新たなチャレンジへの資金的基盤
営業で築いた経済基盤は、将来の夢を実現するための大切な資金となります。起業や事業承継、投資など、様々な可能性に挑戦するための重要な土台となるのです。
例えば、本業の営業で成功を収めることで、自分の理想とするビジネスを立ち上げるための資金を確保できます。また、時間をかけて市場調査や経験を積むことができるため、新しいチャレンジのリスクを大きく下げることもできます。
大切なのは、この資金的基盤を「逃げ道」としてではなく、「次のステージへのステップ」として捉えることです。本業での成功体験は、新しい挑戦への自信にもつながります。
4-3.理想のキャリアを実現するためのロードマップ
ここまでお話ししてきた内容を、具体的な時間軸に落とし込んでいきましょう。
理想のキャリアを実現するには、段階的なステップを踏むことが重要です。
入社1-3年目:基礎固めの時期
まずは入社から3年程度は、営業の基本スキルの習得に集中します。特に初回商談での成果を上げることを意識し、ヒアリング力とコミュニケーション能力を磨いていきましょう。
この時期に身につけた基礎が、その後の成長を大きく左右します。
- 商品知識の習得と基本的な営業スキルの確立
- 初回商談での成果を意識したヒアリング力の向上
- 先輩営業マンの商談に同行し、成功パターンを学ぶ
4-5年目:成果の安定化を目指す時期
次の4年から5年は、安定して成果を出せる営業マンになることを目指します。
月収100万円という具体的な目標を掲げ、それを達成するための実践を重ねていきます。この時期に本業での成功を収めることで、その後の選択肢が大きく広がります。
- 月収100万円という具体的な目標設定
- 顧客からの紹介による新規開拓の実現
- 自分なりの営業スタイルの確立
6年目以降:キャリアの拡大期
そして、30代後半から40代にかけては、蓄積した経験と資金を活かして、自分の理想とするキャリアに挑戦する時期となります。
独立起業や新規事業の立ち上げ、あるいは完全なキャリアチェンジなど、様々な可能性に挑戦できる基盤が整っているはずです。
- 後輩の指導や育成にも携わる
- 業界や商品の専門家としての地位確立
- 新たなキャリアへの準備期間
- 今週の商談予定を見直し、各商談の準備を徹底する
- 成功している先輩の商談に同行させてもらう約束を取る
- 自分の強みと弱みを書き出し、優先的に改善すべき点を特定する
おわりに
営業職は、多くの可能性を秘めた職種です。確かに、日々の数字のプレッシャーや、不安定な収入に悩む時期もあるかもしれません。
しかし、本業での成功を目指し、着実にスキルを磨いていけば、必ず道は開けます。
私は30年の営業経験を通じて、数多くの営業マンが成長し、成功を収める姿を見てきました。
その中で確信できたのは、営業職は「お金を稼ぐための手段」ではなく、「人生の可能性を広げるための職業」だという事実です。
日本の営業職従事者の数は年々増加しており、有効求人倍率も2.14倍と高い水準を維持しています。つまり、営業職の需要は今後も高まっていくことが予想されます。
ぜひ、この記事で紹介した考え方やステップを参考に、あなたらしい営業キャリアを築いていってください。
本業での成功を通じて、より大きな夢への第一歩を踏み出すことができるはずです。
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