新規開拓営業とルート営業の違いを完全解説│適性診断と選び方

「新規開拓営業とルート営業、私にはどちらが向いているのだろうか…」営業職として働いていると、このような悩みを抱えることは少なくありません。実際、営業マネージャーとして数百名の営業マンを指導してきた経験から、多くの方がこの判断に迷っているのを見てきました。

私は営業職一筋で30年間、プレイヤーとして15年、営業マネージャーとしても15年の経験があります。その中で、新規開拓営業とルート営業、それぞれの特徴や必要なスキル、成功のポイントを数多く見てきました。

そこで本日は、新規開拓営業とルート営業の違いを、具体的な業務内容から、それぞれに向いている人の特徴、成功の法則まで詳しく解説していきます。

この記事を読めば、あなたに合った営業スタイルが明確になり、具体的な成功への道筋が見えてくるはずです。

この記事で分かること
  • 新規開拓営業とルート営業の具体的な違い
  • それぞれの営業スタイルに必要なスキルと心構え
  • あなたに向いている営業スタイルの見極め方
  • 営業スタイル別の具体的な成功法則

1.新規開拓営業とルート営業の違いを徹底解説!

新規開拓営業とルート営業は、まったく異なる特徴を持つ営業スタイルです。まずは、それぞれの定義から具体的な業務内容まで、順を追って解説していきます。

1-1.新規開拓営業とルート営業の定義と特徴

新規開拓営業とは、これまで取引のない企業や個人のお客様に対して、新たにアプローチをして商談を進める営業スタイルです。一から信頼関係を築き、契約を獲得していくのが特徴です。

一方、ルート営業は、すでに取引のある既存のお客様を定期的に訪問し、継続的な関係性を維持・発展させていく営業スタイルです。

新規開拓営業は、新しい市場を開拓し、顧客基盤を広げることができる反面、成約までの道のりは長く、断られるリスクも高くなります。ルート営業は安定した関係性を活かせる一方で、急激な売上増加は期待しにくい特徴があります。

1-2.それぞれの仕事内容と1日の流れ

それでは、具体的な業務内容と1日の流れを見ていきましょう。

両者の典型的な1日の流れを比較すると、以下のような違いがあります。

▼新規開拓営業とルート営業の1日の流れ比較
時間帯 新規開拓営業 ルート営業
9:00-10:30 見込み客リスト作成・電話アポ 訪問計画立案・商品在庫確認
10:30-12:00 新規訪問・商談 定期訪問・補充発注管理
13:00-15:00 新規訪問・商談 定期訪問・提案クレーム対応
15:00-17:00 新規訪問・商談 受注品の納期調整・在庫確認
17:00-18:30 商談結果整理・提案書作成 受注データ入力・売上分析
※時間配分は一例です。業界や企業によって異なる場合があります

それぞれ詳しく見ていきましょう。

新規開拓営業の1日

朝は見込み客のリストアップと電話アポイントから始まります。新規のお客様に興味を持っていただくため、商品やサービスの特徴を簡潔に説明し、面談の約束を取り付けます。

午前と午後は商談が中心です。初めての訪問では、まず自社の強みや商品の価値を分かりやすく説明し、お客様のニーズを丁寧にヒアリングします。その後、具体的な提案へと進みます。

夕方以降は、日中の商談の結果を整理し、翌日以降のアポイント取得や提案書の作成を行います。

ルート営業の1日

朝は担当エリアの既存顧客を回る計画を立てることから始まります。各お客様の過去の購入履歴や要望を確認し、効率的な回訪ルートを組み立てます。

商談では、お客様の近況や新しいニーズをヒアリングし、追加提案や新商品の紹介を行います。信頼関係がすでにあるため、コミュニケーションはスムーズに進みます。

夕方は受注した商品の納期調整や、お客様からの要望への対応などの事務作業を行います。また、担当顧客の購買傾向を分析し、次回の提案に活かす準備も重要な業務です。

1-3.求められるスキルと心構えの違い

業務内容が異なる両者には、必要とされるスキルや心構えにも大きな違いがあります。それぞれの営業スタイルで成功するために求められる要素を見ていきましょう。

それぞれの営業スタイルに求められるスキル
【新規開拓営業】

  • 商品知識と提案力
  • 粘り強さ
  • お客様の潜在的なニーズを引き出す力

【ルート営業】

  • お客様との関係性を維持・発展させる力
  • 業界知識と商品の使用状況の理解
  • 細やかなフォロー力

新規開拓営業で特に重要なのは、商品知識と提案力、そして粘り強さです。見込み客に対して商品やサービスの価値を0から説明し、興味を持っていただく必要があるためです。また、断られても諦めない精神力も欠かせません。

さらに重要なのが、お客様の潜在的なニーズを引き出す力です。新規のお客様は、自社の商品やサービスについて詳しく知らないため、表面的な会話だけでは本当の課題が見えてきません。深い対話を通じて、お客様自身も気づいていない課題を発見し、解決策を提案できる力が求められます。

一方、ルート営業ではお客様との関係性を維持・発展させる力が最も重要です。そのためには、担当するお客様の業界知識や、お客様の商品がどのように使われているのかといった理解が不可欠です。

また、日々の細やかなフォローや、お客様からの急な要望への対応力も重要になってきます。「この程度なら」と軽く考えず、どんな小さな要望でも誠実に対応する姿勢が、長期的な信頼関係を築く鍵となります。

1-4.メリット・デメリットを比較

新規開拓営業とルート営業、それぞれのメリット・デメリットを理解することで、自分に合った営業スタイルの判断材料になります。

新規開拓営業の最大のメリットは、大きな成果を出せる可能性が高いことです。新しい市場を開拓し、売上を大きく伸ばすチャンスがあります。また、様々な業界のお客様と商談することで、幅広い知識や経験を得られます。

しかし、その分リスクも大きくなります。努力が必ずしも結果に結びつかないことも多く、精神的なプレッシャーは確実に高まります。また、案件の進捗予測が立てにくく、安定した収入を得るまでに時間がかかる可能性もあります。

一方、ルート営業の最大のメリットは、安定した関係性を基盤に着実な成果を出せる点です。お客様のビジネスをよく理解できているため、的確な提案が可能です。また、信頼関係があるため、新商品の提案なども受け入れてもらいやすい環境があります。

しかし、既存の枠組みの中での活動が中心となるため、短期間で大きな成果を出すことは難しくなります。また、特定のお客様との関係が深くなりすぎると、新しい視点や提案が出しにくくなるというデメリットもあります。

総務省の「日本標準産業分類」によると、製造業における営業活動は、既存顧客への「ルート営業」と新規顧客を開拓する「新規営業」に大別されます。どちらの営業スタイルも、それぞれの特徴を活かした形で企業の成長に貢献しているのです。

2.あなたに向いているのはどちらの営業スタイル?

新規開拓営業とルート営業、それぞれの特徴を理解したところで、次はあなたに向いている営業スタイルを見極めていきましょう。

2-1.新規開拓営業に向いている人の特徴

新規開拓営業に向いているのは、チャレンジ精神が旺盛で、新しいことに積極的に取り組める人です。

たとえば、スポーツなど、何か一つのことに打ち込んだ経験がある人は、新規開拓営業で成功しやすい傾向があります。

目標に向かって継続的に努力を重ね、結果を出すまでの過程を経験しているからです。

また、好奇心が強く、様々な業界や商品に興味を持てる人も新規開拓営業との相性が良いでしょう。

お客様の業界や課題について、自ら積極的に学ぼうとする姿勢が、信頼関係の構築に大きく貢献します。

さらに、断られることを恐れず、むしろそこから学びを得られる人も、新規開拓営業に向いています。

失敗や挫折を次の成功のためのステップと捉えられる強いメンタリティは、大きな武器となります。

新規開拓営業の適性チェックリスト
【基本的な資質】
□ 新しいことに挑戦するのが好き
□ 目標達成のために粘り強く取り組める
□ 断られても次に切り替えられる

【コミュニケーション面】
□ 初対面の人と話すことに抵抗がない
□ 相手の立場に立って考えられる
□ 話を掘り下げて聞くことができる

【仕事の進め方】
□ 計画を立てて行動できる
□ 自分で考えて行動できる
□ 時間の使い方が上手い

3つ以上当てはまる項目がある方は、新規開拓営業との相性が良いかもしれません。ただし、これはあくまで目安です。当てはまらない項目は、意識的な努力で補うことができます。

2-2.ルート営業に向いている人の特徴

ルート営業に向いているのは、コミュニケーション力が高く、細やかな気配りのできる人です。

例えば、アルバイトやサークル活動で、同じメンバーと長期的に良好な関係を築いた経験がある人は、ルート営業との相性が良いでしょう。相手のニーズを理解し、適切なタイミングで必要なサポートを提供できる能力が身についているからです。

また、計画的に物事を進められる人や、確実性を重視する人もルート営業に向いています。お客様との約束や納期を確実に守り、安定した関係性を築いていく仕事だからです。

特に、「急がば回れ」という考え方に共感できる人は、ルート営業で成功する可能性が高いと言えます。一時的な売上よりも、長期的な信頼関係を重視できる姿勢が、結果として大きな成果につながるからです。

ルート営業の適性チェックリスト
【基本的な資質】
□ 継続的な関係づくりが得意
□ 細かい気配りができる
□ 誠実に物事に取り組める

【コミュニケーション面】
□ 相手の話をじっくり聞ける
□ 状況に応じて柔軟に対応できる
□ 信頼関係を大切にできる

【仕事の進め方】
□ 決められた業務を着実にこなせる
□ 長期的な視点で物事を考えられる
□ 約束を必ず守れる

3つ以上当てはまる項目がある方は、ルート営業との相性が良いかもしれません。ただし、これはあくまで目安です。当てはまらない項目は、意識的な努力で補うことができます。

2-3.営業スタイルの選び方と自己分析のポイント

では、具体的にどのように自分に合った営業スタイルを選べば良いのでしょうか。

営業スタイルを選ぶ3つの重要な視点
  • 自分の価値観を明確にすること
  • 自分の強みと弱みを冷静に分析すること
  • キャリアプランとの整合性を確認すること

まず大切なのは、自分の価値観を明確にすることです。「早く結果を出したい」「じっくりと実力を積み上げたい」など、あなたが営業に求めるものは何でしょうか。

次に、自分の強みと弱みを冷静に分析してみましょう。例えば、新しい環境に飛び込むことに抵抗がないか、それとも既存の関係性の中で力を発揮できるタイプか、といった点です。

そして最後に、キャリアプランとの整合性を確認します。3年後、5年後、どんな営業マンになっていたいですか?その目標達成のために、どちらの営業スタイルがより効果的かを考えてみましょう。

このように、価値観、適性、キャリアプランという3つの視点から総合的に判断することで、より確実な選択ができます。

以下のワークシートを使って、具体的に自己分析を進めてみましょう。

営業スタイル選択のための自己分析ワークシート
【Step1】あなたの価値観を書き出してみましょう
□ 仕事で最も大切にしていることは? →(_________________)
□ どんな時にやりがいを感じる? →(_________________)
【Step2】あなたの強み・弱みを分析しましょう
□ 今までの経験で成功したこと・評価されたこと →(_________________)
□ 今までの経験で苦手だと感じたこと →(_________________)
【Step3】キャリアプランを考えてみましょう
□ 3年後になりたい姿 →(_________________)
□ そのために必要なこと →(_________________)

このワークシートに記入することで、あなたに合った営業スタイルが見えてきます。

3.営業30年のプロが教える成功の法則

自分に合った営業スタイルが見えてきたところで、それぞれの営業スタイルで成功するための具体的な方法をお伝えします。

3-1.新規開拓営業で成功するための3つの鉄則

新規開拓営業で安定した成果を出すために、最も重要な3つの鉄則をお伝えします。これは私が30年間の営業経験で培った、絶対に外せないポイントです。

新規開拓営業で成功するための3つの鉄則
  1. 初回の商談で全てを決める
  2. 提案の核心を絞り込む
  3. お客様の発言の背景を掘り下げる

1つ目は、「初回の商談で全てを決める」という意識です。新規開拓営業では、2回目、3回目と商談を重ねれば重ねるほど、成約率は下がっていきます。お客様の興味が最も高い初回こそが、最大のチャンスなのです。

そのため、必ず事前準備を徹底し、お客様の業界研究から価格や導入事例まで、考えられる質問には全て答えられる状態で商談に臨みます。中途半端な準備での商談は、むしろ信頼を失うリスクが高まります。

2つ目は、「提案の核心を絞り込む」ということです。新規のお客様に対して、商品の特徴を全て説明しようとするのは大きな間違いです。お客様が本当に欲しいと思う価値を見極め、そこに焦点を当てた提案をすることが重要です。

例えば、「このシステムには10の機能があります」という説明ではなく、「御社の課題を解決できる最も重要な機能はこれです」という形で、核心を突いた提案をしていきます。

3つ目は、「お客様の発言の背景を掘り下げる」ということです。「今は結構です」という言葉の裏には、様々な理由が隠れています。その真意を理解し、適切な提案につなげることが、成約率を高める重要なポイントとなります。

3-2.ルート営業で成功するための3つの鉄則

続いて、ルート営業で成果を出すための3つの鉄則をお伝えします。

ルート営業で成功するための3つの鉄則
  1. お客様の未来に投資する
  2. 小さな約束を必ず守る
  3. 担当者以外との関係も大切にする

1つ目は、「お客様の未来に投資する」という考え方です。目の前の売上だけを追いかけるのではなく、お客様の事業の成長をサポートする視点を持つことが重要です。そうすることで、お客様との関係性はより強固なものとなります。

例えば、お客様の業界の将来動向や、経営課題について一緒に考え、提案することで、単なる商品提供者から、ビジネスパートナーとしての地位を確立することができます。

2つ目は、「小さな約束を必ず守る」ということです。資料の提出期限や、電話での連絡約束など、どんなに些細なことでも必ず守る。この積み重ねが、長期的な信頼関係を築く土台となります。

私の経験上、大きな商談を失敗する営業マンの多くは、実はこの「小さな約束」を軽視しているケースが目立ちます。

3つ目は、「担当者以外との関係も大切にする」ということです。担当者との関係は良好でも、その周辺の方々との関係が希薄だと、人事異動などで一気に関係が崩れるリスクがあります。

実際、私が指導した営業マンの事例では、担当者以外との関係構築を意識的に行うようになってから、大口案件の成約率が1.5倍に向上しました。これは、お客様の組織全体のニーズをより深く理解できるようになったことに加え、意思決定に関わる様々な方々との信頼関係が築けたためです。

また、人事異動による取引停滞のリスクも大幅に減少し、むしろ異動先での新規案件獲得につながるケースも増えています。このように、「点」ではなく「面」での関係構築が、ルート営業の成果を大きく左右するのです。

3-3.どちらの営業スタイルでも必ず意識すべきこと

最後に、どちらの営業スタイルでも必ず意識すべき重要なポイントをお伝えします。

それは、「誠実さと率直さを貫く」ということです。新規開拓営業でもルート営業でも、一時的な売上のために真実を曲げたり、お客様にとって不利益な提案をすることは、必ず後々の信頼関係を損ねることになります。

人材派遣業界の統計によると、顧客との長期的な取引関係を築いている企業ほど、年間の売上高が安定している傾向にあります。これは、誠実な営業活動の積み重ねが、持続的な成果につながることを示しています。

営業は決して「話術」や「テクニック」ではありません。お客様の課題を真摯に理解し、最適な解決策を提案する。この基本的な姿勢を持ち続けることこそが、どちらの営業スタイルでも成功する秘訣なのです。

4.営業スタイル転換のタイミングと準備

それぞれの営業スタイルにおける成功の法則を理解したところで、実際に営業スタイルの転換を検討している方に向けて、具体的なポイントをお伝えします。転換を成功させるためには、適切なタイミングの見極めと、しっかりとした準備が欠かせません。

4-1.営業スタイルを変えるべき3つのサイン

営業スタイルの転換は、大きな決断を伴います。以下の3つのサインが出てきたら、真剣に転換を検討するタイミングかもしれません。

営業スタイルの転換を検討すべき3つのサイン
  1. 現状の営業スタイルに限界を感じる
  2. お客様からの評価にギャップを感じる
  3. 市場環境や会社の方針が変化している

1つ目は、「現状の営業スタイルに限界を感じる」という状態です。例えば、新規開拓営業で一定の成果は出ているものの、常に新規開拓に追われる毎日に疲れを感じている。

あるいは、ルート営業で安定した関係は築けているものの、成長の実感が持てないと感じている。このように、今の営業スタイルに違和感や限界を感じ始めたら、それは転換を考えるべきサインです。

2つ目は、「お客様からの評価にギャップを感じる」という状況です。新規開拓営業をしていても、お客様から「いつも丁寧なフォローをしてくれて助かる」という評価を受けることが多い。

あるいは、ルート営業をしていても「新しい提案が斬新で参考になる」という声をよく聞く。このように、現在の営業スタイルとは異なる評価を受けることが増えてきたら、それは適性を見直すタイミングかもしれません。

3つ目は、「市場環境や会社の方針が変化している」という状況です。中小企業庁の統計によると、近年は開業率が低下傾向にあり、既存企業との取引強化が重要性を増しています。

このように、外部環境の変化によって求められる営業スタイルが変わってくることもあります。

4-2.転換時の準備と心構え

営業スタイルの転換を決意したら、具体的な準備に入ります。

ここで最も重要なのは、「今までの経験を否定せず、活かす視点を持つ」ということです。

新規開拓営業からルート営業への転換であれば、新規開拓で培った提案力や交渉力は、既存顧客への新しい提案にも活かせます。

反対に、ルート営業から新規開拓営業への転換であれば、お客様との深い関係構築の経験は、新規顧客との信頼関係づくりに大いに役立ちます。

準備の具体的なステップとしては、まず、新しい営業スタイルで求められるスキルを洗い出し、現在持っているスキルとのギャップを分析します。

その上で、補うべきスキルについて、実践的なトレーニングや学習計画を立てていきます。

また、すぐに結果を求めすぎないことも重要です。

新しい営業スタイルに慣れるまでは、一時的に成果が落ちることもあります。それを踏まえた上で、3ヶ月、半年といった具体的な期間での目標を設定し、着実にステップアップを図っていきましょう。

営業スタイル転換時の準備チェックリスト
【スキル面の準備】
□ 新しい営業スタイルで必要なスキルの棚卸し
□ 現状のスキルレベルの自己診断
□ 具体的な学習計画の策定

【実務面の準備】
□ 上司への相談と転換理由の明確な説明
□ 既存顧客への丁寧な引き継ぎ計画
□ 新しい商談スタイルの練習

【心理面の準備】
□ 3ヶ月、半年、1年の具体的な目標設定
□ 一時的な成果低下への心構え
□ メンターやアドバイザーの確保

これらの準備を着実に進めることで、営業スタイルの転換をより確実なものにすることができます。

4-3.成功事例に学ぶ具体的なステップ

具体的な事例を通して、営業スタイル転換の成功ポイントを見ていきましょう。

新規開拓営業からルート営業に転換したAさんの事例です。Aさんは、急激な変化を避け、段階的な転換を行ったことで、成功を収めました。

まず1ヶ月目は、既存のお客様の情報収集に徹底的に時間を使いました。お客様の業界動向、過去の購入履歴、担当者の方々の人となりなど、できる限りの情報を集めました。この時点では、新規の提案は極力控えめにしています。

2ヶ月目からは、集めた情報を活用しながら、小規模な追加提案を始めました。新規開拓で培った提案スキルを活かしつつも、お客様との関係性を重視した、無理のない提案を心がけました。

3ヶ月目以降は、お客様からの信頼も厚くなり、大型の追加提案も成功させています。「新規開拓時の積極性」と「ルート営業での細やかさ」を組み合わせた独自のスタイルを確立できました。

反対に、ルート営業から新規開拓営業への転換で成功したBさんの場合は、得意分野から段階的に領域を広げていくアプローチを取りました。

最初は既存顧客からの紹介案件のみを担当し、ルート営業で培った丁寧な対応を活かしながら、新規開拓のスキルを磨いていきました。その後、徐々に完全な新規案件にも挑戦し、約半年で新規開拓営業のスペシャリストへと成長しています。

両者に共通するのは、「急激な変化を避け、着実にステップアップしていく」という姿勢です。営業スタイルの転換は、一朝一夕には実現できません。しかし、計画的に取り組むことで、必ず成功への道は開けるのです。

まとめ

新規開拓営業とルート営業、それぞれに特徴があり、必要とされるスキルも異なります。しかし、どちらが「良い」「悪い」というわけではありません。

重要なのは、自分の強みや価値観に合った営業スタイルを選択し、そこで成功するための努力を惜しまないということです。

本記事で解説した内容を整理すると、以下のようになります。

  • 新規開拓営業とルート営業には、それぞれ異なる特徴と必要なスキルがある
  • 自分に合った営業スタイルを選ぶには、価値観、適性、キャリアプランの3つの視点が重要
  • どちらの営業スタイルでも、誠実さと率直さを貫くことが成功の鍵
  • 営業スタイルの転換は、計画的に段階を踏んで進めることで成功の確率が高まる

今回お伝えした内容が、あなたの営業スタイル選択の参考になれば幸いです。そして、その選択に迷いや不安があったとしても、それは当然のことです。大切なのは、一度決めた方向性に対して、真摯に取り組む姿勢を持ち続けることです。

営業の成功は、一朝一夕には実現できません。しかし、正しい方向性を持って努力を積み重ねることで、必ず道は開けます。あなたの営業人生が、より充実したものになることを願っています。