採用率4倍!不動産営業の職務経歴書で他の応募者と差をつける6つの書き方

不動産営業の転職を考えた時、もっとも重要な書類が「職務経歴書」です。職務経歴書は、あなたの営業スキルと実績を採用担当者に伝える唯一の機会であり、面接に呼ばれるかどうかを左右する重要な書類です。

しかし、多くの方が「何をどう書けばいいのか」「どのような点をアピールすべきか」という疑問を抱えています。

私は住宅メーカーで30年間、不動産営業の第一線で活動し、営業プレイヤーとして15年、営業マネージャーとして15年の経験を持っています。

その過程で数百名の営業マンを指導し、実際に多くの採用面接にも携わってきました。

採用する側の視点から言えば、職務経歴書から「この人なら結果を出せそうだ」と感じられる人材を選びたいと考えています。

本記事では、不動産営業の職務経歴書で確実に押さえるべきポイントと、採用担当者の目に留まる書き方を解説します。

この記事で分かること
  • 不動産営業の職務経歴書に必ず記載すべき6つのポイント
  • 採用担当者が最も重視する経歴書の書き方
  • 未経験や異業種からの転職でも採用される書き方のコツ
  • 面接官の印象に残る差別化のテクニック

目次

1.不動産営業の職務経歴書で必ず押さえるべき6つの記載ポイント

不動産営業の職務経歴書には、他業種とは異なる独自のポイントがあります。

以下の6つのポイントを押さえることで、採用担当者の目に留まる職務経歴書を作成できます。

不動産営業の職務経歴書に必要な6つのポイント
  • 担当エリアと物件タイプの明記
  • 具体的な数字で示す営業実績
  • 営業手法と顧客層の説明
  • 保有資格と専門知識のアピール
  • チーム・組織での役割と貢献
  • 独自の工夫と問題解決事例

それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

1-1.担当エリアと物件タイプの明記

不動産営業では、どのようなエリアでどのような物件を扱ってきたかが重要な情報です。

採用担当者は、あなたの経験が自社の取扱物件やエリアとマッチするかを確認します。

例えば「東京都心部の高級マンション販売を担当」「千葉県郊外の戸建て住宅を中心に仲介営業」など、具体的に記載しましょう。

  • 「東京都心部の高級マンション販売を担当」
  • 「千葉県郊外の戸建て住宅を中心に仲介営業」
  • 「都内23区の賃貸仲介営業、特に単身者向け物件に精通」
  • 「横浜市内の中古マンションリノベーション案件を専門的に扱う」
  • 「大阪市中心部の商業テナント仲介を担当」
  • 「神奈川県湘南エリアの別荘・リゾート物件に特化」

エリアごとの市場特性や顧客層の違いを理解していることが伝われば、即戦力として高く評価されます。

1-2.具体的な数字で示す営業実績

不動産営業の職務経歴書で最も重要なのは数字で示す実績です。

「年間契約件数」「月間反響数」「目標達成率」「売上金額」など、できるだけ具体的な数字を記載しましょう。

例えば「入社2年目で月間契約件数支店1位を達成(5件/月)」「年間目標達成率120%を3年連続達成」などと記載すると、あなたの実力が一目で伝わります。

  • 「入社2年目で月間契約件数支店1位を達成(5件/月)」
  • 「年間目標達成率120%を3年連続達成」
  • 「月間平均反響獲得数30件、成約率15%」
  • 「1年間で既存顧客からの紹介による成約20件を獲得」
  • 「担当エリアの売上シェア25%を獲得(エリア内トップ)」
  • 「顧客満足度調査で5段階中4.8の高評価を獲得」

下記の表は、不動産営業実績の効果的な表現例です。自分の実績を当てはめる際の参考にしてください。

実績カテゴリー 効果的な表現例
売上/成約件数 ・年間売上○億円(前年比○%増)
・月間平均成約件数○件(社内平均の○倍)
目標達成率 ・年間目標達成率○%を○年連続達成
・四半期ごとの目標達成率○%以上を維持
顧客満足/リピート率 ・顧客満足度調査○点/5点(社内平均○点)
・紹介率○%(業界平均○%)
成長率 ・入社○年目で売上前年比○%増
・○ヶ月連続で成約件数増加

実績は具体的な数字で示すだけでなく、可能であれば「社内平均との比較」や「業界標準との比較」も加えると、よりあなたの実力が伝わりやすくなります。

総務省の労働力調査によると、不動産業界の就業者数は約141万人と非常に多く、競争の激しい業界です。その中で結果を出せる人材であることをアピールしましょう。

1-3.営業手法と顧客層の説明

不動産営業では、どのような営業手法でどのような顧客層を担当してきたかを明確に示すことが重要です。

例えば「インターネット広告からの反響営業を主体に、30代共働き世帯を中心に対応」「企業の福利厚生担当者向け法人営業を担当」など、具体的に記載しましょう。

代表的な営業手法と顧客層の例
  • 「インターネット広告からの反響営業を主体に、30代共働き世帯を中心に対応」
  • 「企業の福利厚生担当者向け法人営業を担当」
  • 「紹介営業を中心に、富裕層向け高級物件に特化」
  • 「SNSマーケティングを活用し、20代の若年層向け賃貸仲介を展開」
  • 「セミナー開催による投資家向け一棟アパート販売に特化」
  • 「地域密着型の対面営業で、地元の高齢者層の住み替え需要に対応」

あなたの営業スタイルと得意な顧客層が伝われば、採用担当者はあなたを自社のどのポジションに配置するかをイメージしやすくなります。

1-4.保有資格と専門知識のアピール

不動産業界では、専門的な知識や資格が重要視されます。

宅地建物取引士や不動産コンサルティングマスターなどの資格はもちろん、取得年数も明記しましょう。

アピールすべき資格と専門知識の例
  • 「宅地建物取引士(2018年取得)」
  • 「賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランナー保有」
  • 「住宅ローンアドバイザー、相続対策の専門知識あり」
  • 「不動産コンサルティングマスター(公認 不動産コンサルティング技能試験)」
  • 「マンション管理士の資格を活かした区分所有法の知識」
  • 「相続診断士の資格を活かした相続不動産の活用提案」

資格がない場合でも、「住宅ローンの知識」「相続関連の税制知識」「リノベーションの専門知識」など、あなたの専門分野を具体的に書くことで、専門性をアピールできます。

国土交通省の調査によれば、不動産業界の就業者の平均年齢は61.7歳と高齢化が進んでおり、専門知識を持った若手人材の需要は高まっています。

1-5.チーム・組織での役割と貢献

不動産営業は個人の成績だけでなく、チームでの役割や貢献も重要です。

「新人教育係として10名の育成を担当」「チーム全体の契約率向上に向けた商談ロールプレイング研修を企画・実施」など、組織への貢献度を示しましょう。

チーム貢献のアピールポイント例
  • 「新人教育係として10名の育成を担当」
  • 「チーム全体の契約率向上に向けた商談ロールプレイング研修を企画・実施」
  • 「社内システム改善プロジェクトにメンバーとして参加」
  • 「営業マニュアルの作成・更新を担当し、全社の業務効率を20%向上」
  • 「社内勉強会の講師を務め、チーム全体の住宅ローン知識を底上げ」
  • 「物件撮影や販促資料作成のノウハウを共有し、部署全体の反響率向上に貢献」

厚生労働省の雇用動向調査によると、不動産業界では離職者数が入職者数を上回っており、定着率向上に貢献できる人材は特に評価されます。

1-6.独自の工夫と問題解決事例

最後に、あなただけの独自の工夫や問題解決事例を記載しましょう。

「長期間売れなかった物件を、SNSを活用した独自の販売手法で成約に導いた」「クレーム対応で信頼関係を構築し、紹介顧客を多数獲得」など、具体的なエピソードを書きましょう。

効果的な問題解決事例の例
  • 「長期間売れなかった物件を、SNSを活用した独自の販売手法で成約に導いた」
  • 「クレーム対応で信頼関係を構築し、紹介顧客を多数獲得」
  • 「住宅ローン審査が通らない顧客向けに独自の提案書を作成し成約率を向上」
  • 「高齢の売主に対して、デジタルツールを使った丁寧な説明で不安を解消し成約」
  • 「複雑な相続物件の権利関係を整理し、売却が困難とされた案件を成約」
  • 「環境に配慮した住宅設備の知識を深め、SDGsに関心の高い顧客層を開拓」

このセクションは、あなたの問題解決能力や創造性を示す重要なパートです。

実際に私が面接した際も、定型的な営業手法だけでなく、自分で考え工夫できる営業マンは高く評価しています。

2.採用担当者の視点から見た効果的な職務経歴書の構成法

前章では不動産営業の職務経歴書に必要な6つの記載ポイントを解説しました。では、それらを効果的に構成するにはどうすればよいのでしょうか。

実際に私は多くの採用面接に携わってきましたが、不動産会社の採用担当者は膨大な応募書類の中から、短時間で「この人なら成果を出せそうだ」と感じられる人材を探しています。

そのために重要なのが、以下のような職務経歴書の効果的な構成です。

効果的な職務経歴書の構成ポイント
  • 重要な情報から先に記載する
  • 視覚的に分かりやすく情報を整理する
  • 具体的なエピソードで説得力を持たせる

本章では、より詳しく効果的な構成法を解説します。

2-1.職務経歴書で最も重視される3つのセクション

不動産業界の採用担当者が特に注目する3つのセクションがあります。

職務経歴書で最も重視される3つのセクション
  • 実績と成果が一目でわかる「成果一覧」セクション
  • 自分の強みが明確にわかる「専門分野とスキル」セクション
  • 具体的なエピソードがある「成功事例」セクション

「成果一覧」は職務経歴書の最初か目立つ位置に配置し、数字で示した実績を箇条書きにしましょう。

「専門分野とスキル」では、あなたの強みとなる専門知識や営業スキルを簡潔にまとめます。

「成功事例」では、具体的なエピソードを1〜2つ厳選して記載することで、あなたの実力が伝わります。

2-2.不動産営業特有の強みの表現方法

不動産営業ならではの強みを表現することで、あなたの経験価値が高まります。

  • 成約率や反響数などの数値実績
  • 特定のエリアや物件タイプでの専門性
  • トラブル解決能力や交渉力
  • 紹介や口コミでの成約実績
  • 業界独自の専門知識(税制、建築、ローンなど)

これらの強みは、具体的なエピソードとともに記載すると説得力が増します。

例えば「住宅ローンの審査が厳しい顧客に対して、複数の金融機関と交渉し、最適なプランを提案して成約に結びつけた」など、具体的な課題解決のプロセスを簡潔に記載しましょう。

2-3.経験が少ない場合の効果的なアピール戦略

不動産業界未経験や経験が浅い場合でも、効果的なアピール方法があります。

経験が少ない場合のアピールポイント
  • 前職での営業スキルの転用方法
  • 顧客対応や折衝経験のアピール
  • 不動産業界への熱意と学習意欲
  • 短期間での成長性や実績の伸び率

未経験や経験が浅い場合は、前職での経験を不動産業にどう活かせるかを具体的に書くことが重要です。

例えば「前職の小売業で培った顧客ニーズのヒアリング力を活かし、お客様の理想の住まいを具体化できます」など、スキルの転用方法を明確に示しましょう。

また、短期間でどれだけ成長したかを具体的な数字で表現することで、あなたの成長速度や学習能力をアピールできます。

異業種からの転職成功事例

【金融機関から不動産営業へ転職したAさんの場合】
前職での融資業務経験を「住宅ローン提案のプロ」としてアピール。職務経歴書には「顧客の財務状況を正確に分析し、最適な資金計画を提案できる」と記載。面接では「お客様の将来設計まで考えた住宅提案ができる」と強調した結果、大手デベロッパーへの転職に成功。

【アパレル販売から不動産営業へ転職したBさんの場合】
接客経験を「顧客の潜在ニーズを引き出す能力」としてアピール。職務経歴書には「お客様が言葉にできない希望を具体化するヒアリング力」と記載。さらに「季節や流行を先読みした提案力」を「将来の資産価値も考慮した物件提案ができる」と関連付けて説明し、不動産仲介会社への転職を実現。

【IT企業から不動産営業へ転職したCさんの場合】
データ分析スキルを「物件価値の的確な評価」につなげられるとアピール。職務経歴書には「市場データを活用した客観的な物件分析力」と記載。「最新のデジタルマーケティングを不動産販促に活用できる」という独自性を強調し、大手不動産会社のデジタル戦略部門へ転職成功。

これらの事例からわかるように、異業種での経験を不動産営業に転用できる具体的なストーリーを作ることが重要です。

自分の経験を振り返り、不動産業界でどのように活かせるかを具体的に考えてみましょう。

厚生労働省の調査によると、不動産業・物品賃貸業の入職者は年間87.2万人に上り、多くの転職者を受け入れています。あなたの独自のスキルや視点は、業界に新しい価値をもたらす可能性があるのです。

3.不動産営業として評価される成功体験の書き方

職務経歴書の構成法を理解したら、次は具体的なエピソードの書き方です。

どれだけ優れた実績があっても、それを効果的に表現できなければ意味がありません。

採用担当者の目に留まる職務経歴書には、必ず印象に残る成功体験のエピソードが含まれています。

ただし、単なる自慢話ではなく、あなたの営業力や問題解決能力を端的に示す内容にすることが重要です。

3-1.顧客満足につながったエピソードの構成法

顧客満足につながったエピソードは、採用担当者に高く評価されます。

顧客満足エピソードの効果的な構成法
  • 最初に直面した課題や問題点を明確に示す
  • あなたが取った具体的な行動を簡潔に説明する
  • その結果、顧客がどう満足したかを具体的に記載する
  • 可能であれば数字で成果を示す

例えば「住宅ローンが組めず諦めかけていた顧客に対して、複数の金融機関と交渉し、通常より優遇された条件での融資を実現。結果として理想の物件購入につながり、その後5件の紹介を獲得した」といった書き方が効果的です。

顧客の問題をどう解決したかという視点でエピソードを構成すると説得力が増します。

最新の不動産市場動向を踏まえたエピソード例

【コロナ禍での住環境ニーズ変化への対応】
「テレワーク普及により郊外への移住を検討していた顧客に対し、通勤と在宅ワークの両立に適した物件を提案。実際の通勤時間と在宅環境のバランスを考慮した物件を厳選し、顧客のライフスタイルに合った住まいを提供できた。結果、顧客から『将来の働き方まで考慮した提案に感動した』との評価をいただき、同僚への紹介につながった」

【SDGsや環境配慮への対応】
「環境に配慮した住まいを希望する顧客に対し、省エネ性能や断熱性能に優れた物件を厳選して提案。さらに、再生可能エネルギー設備の導入コストと将来的な光熱費削減効果を具体的な数字で示し、長期的な視点での経済性と環境貢献を両立できることを説明。結果、顧客の価値観に合致した提案として高評価を得た」

【デジタル技術を活用した非対面営業】
「遠方に住む顧客に対し、VR技術を活用した物件案内を実施。360度カメラで撮影した室内映像と周辺環境の詳細情報を組み合わせた独自の資料を作成し、オンライン商談で丁寧に説明。現地に来ることなく物件購入を決断していただき、『移動時間をかけずに詳細な物件情報が得られた』と高い満足度を獲得した」

これらの最新事例は、あなたが時代の変化に対応できる柔軟性と提案力を持つ営業パーソンであることをアピールできる強力な武器になります。

特に、国土交通省の「不動産業ビジョン2030」によると、不動産業界はデジタル化や環境配慮、多様な働き方への対応など大きな変革期を迎えています。これらの変化に敏感に対応できる人材は高く評価されます。

自分の経験を振り返り、時代のニーズに合ったエピソードを職務経歴書に盛り込みましょう。

3-2.数値化できない実績の効果的な伝え方

不動産営業の実績の中には、数値化しにくいものもあります。

数値化しにくい実績の伝え方
  • 具体的な顧客の声や反応を引用する
  • その後の紹介件数や継続取引につなげた事実
  • 社内での評価や表彰につながった事例
  • トラブル解決から信頼関係構築に至った過程

例えば「クレーム対応後に信頼関係を構築し、顧客から『あなただから任せられる』と言っていただき、その後5年間で計3件の住み替え取引を担当した」といった形で、具体的な顧客の声や継続的な取引を示すことで、数値化できない実績も効果的に伝えられます。

以下は、顧客からの評価を職務経歴書に記載する効果的な例です。

記載方法 効果的な表現例
直接的な声の引用 「この営業担当者だから安心して任せられる」というお言葉をいただき、その後家族や友人からの紹介を5件獲得。
継続取引への言及 初回の取引後、顧客とは継続的な関係を構築し、3年間で計4件の追加取引を担当。信頼関係の構築に成功。
トラブル解決事例 引渡し直前のトラブルでクレームとなった案件を、丁寧な対応で解決。結果的に顧客の信頼を獲得し、その後の紹介につながった。
社内評価の活用 顧客満足度調査で社内最高評価を獲得。「お客様の声」社内表彰で年間MVPを受賞。

これらの表現方法を参考に、あなたが受けた評価や築いた信頼関係を具体的に伝えましょう。採用担当者は「この人なら顧客と良好な関係を築けるだろう」と期待します。

数値化できないからといって記載しないのはもったいないことです。むしろ、人間関係を構築する能力は不動産営業にとって非常に重要な要素であり、積極的にアピールすべきポイントなのです。

3-3.困難な取引を成約に導いた経験の表現方法

困難な取引を成約に導いた経験は、あなたの問題解決能力を示す重要なアピールポイントです。

  • 長期間売れなかった物件の成約
  • 複雑な条件がある取引の成立
  • 複数の関係者間の調整が必要な案件
  • 価格交渉が難航した案件
  • 競合他社との競争案件

これらの経験を記載する際は、具体的な問題点と、あなたがどう解決したかを明確に書きましょう。

例えば「1年以上売れ残っていた物件に対して、ターゲット層を見直し、リノベーション提案を加えた販売戦略を立案。結果、2週間で成約となり、社内MVPを獲得した」といった形で、課題と解決策、結果を簡潔に伝えることが効果的です。

4.異業種からの転職者が知るべき不動産営業のアピールポイント

前章では不動産営業経験者向けの成功体験の書き方を解説しました。しかし、不動産業界への転職を考えている方の中には、異業種からの転職者も多いでしょう。

「不動産の経験がないから採用されないのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、異業種からの転職でも、自分の経験やスキルを適切に表現すれば十分に競争力のある職務経歴書を作成できます。

この章では、異業種から不動産営業へ転職する際のアピールポイントを解説します。

4-1.汎用的なビジネススキルの不動産営業への応用

異業種からの転職者が持つビジネススキルは、不動産営業でも大いに活かせます。

不動産営業に応用できる汎用的なビジネススキル
  • 顧客折衝やヒアリングスキル
  • 提案力やプレゼンテーション能力
  • 契約締結に至るまでの交渉力
  • 顧客との信頼関係構築能力
  • 管理能力や仕組み化の経験

例えば、金融機関での経験があれば「住宅ローンの知識を活かした資金計画の提案」、小売業なら「顧客心理を理解した接客スキル」など、自分の経験を不動産営業にどう活かせるかを具体的に書きましょう。

厚生労働省の調査によると、不動産業界は人手不足が続いており、異業種からの転職者も積極的に採用する傾向があります。

4-2.異業種での経験を不動産営業でのメリットに変換する方法

異業種での経験は、不動産営業で差別化できる強みになります。

  • 金融業界→住宅ローンや資金計画の専門知識
  • 建築・リフォーム業界→物件の構造や価値の理解
  • 小売業→顧客心理を理解した接客術
  • IT業界→デジタルマーケティングの活用
  • 営業職全般→顧客との信頼関係構築方法

職務経歴書では、「前職では○○業界で××の経験を積み、これを不動産営業では△△として活かしたい」という形で、前職の経験と不動産営業の関連性を明確に示しましょう。

私の経験では、異業種からの転職者は新しい視点や発想を持ち込み、業界の常識にとらわれない提案ができる点が評価されることが多いです。

4-3.不動産業界で求められる人物像と自己PRの一致させ方

不動産業界で特に求められる人物像を理解し、自己PRに反映させましょう。

不動産業界で評価される人物像
  • 誠実で信頼感のある人柄
  • 粘り強く目標達成に向けて努力できる姿勢
  • コミュニケーション能力が高く、多様な顧客に対応できる柔軟性
  • 自己成長意欲が高く、常に学ぶ姿勢がある
  • チームワークを重視し、組織に貢献できる協調性

自己PRでは、これらの要素とあなた自身の強みや価値観を一致させることが重要です。

例えば「前職での顧客対応で培った誠実なコミュニケーションを大切にし、お客様の人生の大切な決断を全力でサポートしたい」など、不動産業界で重視される価値観とあなたの強みを結びつけましょう。

公益社団法人不動産流通推進センターの調査では、不動産業界の女性就業者比率も増加しており、多様な人材が活躍できる環境が整いつつあります。

採用担当者が職務経歴書の裏で知りたいこと

【採用担当者が本当に知りたい7つの質問】
不動産業界の採用担当者は、職務経歴書だけからは判断できない情報も知りたいと考えています。彼らは以下のような質問の答えを職務経歴書から読み取ろうとしています。

これらの疑問に先回りして答えを示すことで、あなたの職務経歴書の説得力は大きく高まります。

①この人は長く働いてくれるか?
→職務経歴書での対策:「長期的なキャリアビジョン」を記載する

②営業成績の波はどの程度あるのか?
→職務経歴書での対策:月別・四半期別の実績推移を示す

③チーム内での評価はどうだったのか?
→職務経歴書での対策:上司や同僚からの評価コメントを記載する

④顧客からのクレーム対応はできるのか?
→職務経歴書での対策:トラブル解決事例を具体的に記載する

⑤デジタルツールへの適応力はあるのか?
→職務経歴書での対策:使用経験のあるCRMやSNS活用事例を記載する

⑥不動産の専門知識はどの程度あるのか?
→職務経歴書での対策:業務で活用した専門知識を具体的に記載する

⑦なぜ転職するのか?本当の理由は?
→職務経歴書での対策:ポジティブな成長志向の転職理由を記載する

【面接でよく聞かれる質問の真意】
また、実際の面接では、採用担当者は表面的な質問の裏に、別の意図を持っていることが多いです。以下の質問が何を評価しようとしているのかを理解しておくと、面接前の準備がしやすくなります。職務経歴書の内容も、これらの質問に備えたものにしておきましょう。

・「前職で最も難しかった取引は?」
→トラブル対応力と問題解決能力を見ている

・「理想の上司像は?」
→マネジメントに対する期待と自身の仕事スタイルを見ている

・「5年後はどうなっていたいか?」
→キャリアビジョンの明確さと定着意思を見ている

・「趣味は何か?」
→仕事以外の人間性とコミュニケーション能力を見ている

採用担当者は職務経歴書からはわからない「人となり」を面接で確認したいと考えています。

そのため、職務経歴書ではこれらの質問に対する「ヒント」を散りばめておくことで、面接官の興味を引き、あなたの強みをアピールする機会を増やすことができます。

例えば「チーム内で最年少ながら月間MVP受賞」といった記載は、「若くても結果を出せる」という強みと「チーム内での評価」を同時にアピールできます。

また「顧客からのクレームを解決し、リピート顧客に変えた経験」という記載は、「トラブル対応力」と「顧客満足度向上能力」をアピールできます。

これらの情報を効果的に盛り込むことで、面接官に「もっと詳しく聞きたい」と思わせる職務経歴書になります。

5.面接官を引き付ける!職務経歴書の差別化戦略

ここまで不動産営業の職務経歴書に必要な内容を解説してきましたが、採用担当者は多くの応募書類を見ています。

いくら内容が良くても、「他の応募者と同じような書類」では印象に残りません。次のポイントを押さえることで、多くの応募者の中から選ばれる職務経歴書に仕上げることができます。

職務経歴書の差別化ポイント
  • 印象に残る自己PR文の作成
  • 視覚的な差別化と読みやすさの工夫
  • 強みが伝わる締めくくり方

というわけで最後に、あなたの職務経歴書を際立たせる差別化戦略について解説します。

5-1.印象に残る自己PR文の作成テクニック

職務経歴書の冒頭や概要欄に記載する自己PR文は、採用担当者の第一印象を決める重要な部分です。

印象に残る自己PR文のポイント
  • 最初の一文で興味を引く工夫をする
  • 自分の「強み」「実績」「姿勢」を簡潔に伝える
  • 不動産営業としての独自の価値観や信念を示す
  • 転職理由と今後の目標を前向きに表現する

例えば「契約件数より顧客満足を追求し、紹介率70%を実現してきた不動産営業です」など、あなたならではの価値観と実績を端的に示す自己PR文が効果的です。

どこにでもある一般的な表現ではなく、あなた独自の営業哲学や強みを簡潔に表現しましょう。

5-2.他の応募者と差をつける職務経歴書の書式とデザイン

職務経歴書の見た目も、採用担当者の印象に大きく影響します。

  • 見出しを効果的に使い、情報を整理する
  • 重要な実績や数字は太字や下線で強調する
  • 適度な余白を設けて読みやすさを確保する
  • 写真や図表を効果的に使う(必要な場合のみ)
  • 1〜2ページ以内に収める

デザインは派手すぎず、シンプルかつ情報が整理された見やすさが重要です。

また、応募先企業のカラーやブランドイメージに合わせた色使いやフォントを選ぶのも効果的です。

下記は職務経歴書のレイアウト比較です。選択するレイアウトによって、採用担当者に与える印象が変わります。

標準型 実績強調型 スキルマップ型
【特徴】
・オーソドックスな構成
・時系列で経歴を記載
【特徴】
・冒頭に実績一覧を配置
・数字や成果を強調
【特徴】
・スキルを視覚的に表現
・レーダーチャートなどを活用
【適している人】
・安定した職歴の人
・経験年数が長い人
【適している人】
・実績が豊富な人
・成果にこだわる企業に応募
【適している人】
・多様なスキルを持つ人
・異業種からの転職者
【印象】
・堅実さ、誠実さ
【印象】
・結果志向、行動力
【印象】
・多面性、バランス感

自分の強みを最も効果的に伝えられるレイアウトを選びましょう。例えば、実績が豊富なベテラン営業であれば「実績強調型」、異業種からの転職であれば「スキルマップ型」が効果的です。

また、デジタルで提出する場合は、PDFに変換して送ることをおすすめします。ワード形式だと、閲覧環境によってレイアウトが崩れてしまう可能性があります。

5-3.面接につながる職務経歴書の締めくくり方

職務経歴書の締めくくりは、面接への期待感を持たせる内容にしましょう。

効果的な締めくくりのポイント
  • 応募企業への興味や入社意欲を簡潔に伝える
  • 自分の経験やスキルが企業にどう貢献できるかを示す
  • さらに詳しく話し合いたい内容や提案を示唆する
  • 前向きで謙虚な姿勢を示す

例えば「貴社の○○という取り組みに共感し、私のこれまでの経験を活かして貢献したいと考えています。もし機会をいただければ、より詳しくお話しさせていただきたく存じます」など、面接官に「会ってみたい」と思わせる締めくくりが効果的です。

面接は互いを知る機会であり、採用担当者もあなたの人柄や能力をより詳しく知りたいと考えていることを忘れないでください。

基本的なフォローアップの流れ

  • 【Step1】応募から1週間程度経過しても連絡がない場合、丁寧な問い合わせメールを送る
  • 【Step2】書類選考通過の連絡を受けたら、すぐに丁寧なお礼と面接の日程調整の返信をする
  • 【Step3】面接後は24時間以内にお礼メールを送り、熱意を伝える

効果的なフォローアップメールの例

【応募後の問い合わせ例】

件名:職務経歴書提出の確認について(氏名)

本文:
〇〇株式会社
採用ご担当者様

先日、〇月〇日に貴社〇〇職への応募書類を提出いたしました〇〇と申します。

書類の到着確認をさせていただきたく、ご連絡いたしました。
また、追加で必要な資料などございましたら、お知らせいただければ幸いです。

貴社での選考機会を楽しみにしております。
どうぞよろしくお願いいたします。

〇〇 〇〇

連絡先:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
メール:〇〇〇@〇〇〇.〇〇〇

【面接後のお礼メール例】

件名:本日の面接のお礼(氏名)

本文:
〇〇株式会社
〇〇様

本日は、お忙しい中、面接のお時間をいただき、誠にありがとうございました。

貴社の〇〇に関するビジョンや、〇〇についてのお話を伺い、ますます貴社での就業に強い関心を持ちました。
特に、〇〇についてのお話は、私のこれまでの経験と重なる部分があり、ぜひ貢献したいと思いました。

もし次の選考についてご連絡いただける機会がございましたら、大変嬉しく存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。

〇〇 〇〇

連絡先:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
メール:〇〇〇@〇〇〇.〇〇〇

フォローアップはあなたの熱意と誠実さを示す重要な機会です。

ただし、しつこすぎるフォローは逆効果になることもあるため、適切なタイミングと丁寧な文面を心がけましょう。

特に不動産業界では、顧客とのコミュニケーション能力が重視されるため、フォローアップのやり取りそのものがあなたのコミュニケーション能力を示す機会となります。

6.すぐに使える!不動産営業職務経歴書の実践テンプレート

ここまで不動産営業の職務経歴書作成のポイントを詳しく解説してきました。しかし、「実際にどう書けばいいのか」と悩む方も多いでしょう。

そこで、この章では実際に使える職務経歴書のテンプレートをご紹介します。

あなたの経験や状況に合わせて、内容をアレンジしてご活用ください。

6-1.経験者向け職務経歴書サンプル

不動産営業経験者の方は、以下のようなフォーマットで職務経歴書を作成すると効果的です。

不動産営業経験者向け職務経歴書テンプレート
【職務経歴書】
氏名:○○ ○○

【職務要約】
不動産営業として○年間の経験があり、主に○○エリアの○○(物件タイプ)を担当。年間○件の成約実績を持ち、目標達成率○%を○年連続で達成。○○の資格を活かし、お客様の○○(ニーズ)に対応した提案を得意としている。

【職務経歴】
株式会社○○不動産(20XX年○月~現在)
職務:売買仲介営業

■担当業務

  • ○○エリアの戸建て・マンションの売買仲介営業
  • 新規顧客開拓(ポスティング、オープンハウス、WEB広告運用など)
  • 物件調査、価格査定、販売計画立案
  • 内覧同行、契約業務、決済業務

■実績

  • 月間平均成約件数:○件(社内平均○件)
  • 年間目標達成率:○%(20XX年度)
  • 反響獲得数:月平均○件
  • 顧客満足度調査:○点/5点満点(社内平均○点)

■具体的成功事例

  • 長期間(○ヶ月)売れ残っていた物件に対し、○○という独自の販売戦略を実施。2週間で成約に至り、社内MVPを獲得。
  • 住宅ローン審査が難航していた顧客に対し、○○の専門知識を活かした提案を行い、無事成約。その後、顧客からの紹介で○件の成約につながった。

■チームへの貢献

  • 新人営業○名の教育担当として、全員が○ヶ月以内に初契約を獲得するサポートを実施
  • 社内研修「○○」の企画・運営を担当し、部署全体の成約率を○%向上させた

【保有資格】

  • 宅地建物取引士(20XX年取得)
  • ○○資格(20XX年取得)

【自己PR】
私は「○○」を信条に、お客様の人生における重要な決断を全力でサポートしてきました。特に○○に強みを持ち、○○の経験を活かして貴社の○○に貢献したいと考えています。

このテンプレートを基本に、あなたの実績や強みを具体的に記入していきましょう。

特に「具体的成功事例」は、あなたの問題解決能力を最もアピールできる部分なので、詳細に記載することをおすすめします。

6-2.異業種からの転職者向けサンプル

異業種からの転職を考えている方は、以下のようなフォーマットで職務経歴書を作成すると効果的です。

異業種からの転職者向け職務経歴書テンプレート
【職務経歴書】
氏名:○○ ○○

【職務要約】
○○業界で○年間の経験を持ち、主に○○(業務内容)を担当。特に○○(強み)に強みを持ち、○○の実績を達成。この経験を不動産営業に活かし、○○(不動産営業でどう活かせるか)したいと考えています。

【職務経歴】
株式会社○○(20XX年○月~現在)
職務:○○

■担当業務

  • ○○(これまでの業務内容)
  • ○○
  • ○○

■実績

  • ○○(数値で示せる実績)
  • ○○(受賞歴など)
  • ○○(クライアントからの評価など)

■不動産営業に活かせるスキル・経験

  • 顧客折衝力:○○の経験から培った、お客様のニーズを引き出すヒアリング能力
  • 提案力:○○の経験を活かした、お客様の状況に合わせた最適な提案力
  • 交渉力:○○の経験から得た、複数の関係者との円滑な交渉能力

【保有資格】

  • ○○資格(20XX年取得)
  • ○○検定(20XX年取得)

【不動産業界への志望理由】
○○(なぜ不動産業界に興味を持ったのか)
○○(不動産業界でどのように活躍したいのか)

【自己PR】
私はこれまでの○○の経験を通じて、○○(強み)を身につけてきました。この強みを不動産営業でも発揮し、お客様の大切な資産に関わる仕事として責任を持って取り組みたいと考えています。また、不動産の知識については、独学で○○を学習しており、入社後も積極的に専門知識を吸収していく意欲があります。

異業種からの転職では、これまでの経験をどう不動産営業に活かせるかを明確に示すことが重要です。

「不動産営業に活かせるスキル・経験」の欄では、あなたのこれまでの経験と不動産営業の業務を結びつけて具体的に記載しましょう。

また、「不動産業界への志望理由」では、単なる興味だけでなく、なぜその会社を選んだのか、どのように貢献したいのかを明確に伝えることが大切です。

おわりに

不動産営業の職務経歴書作成は、ただ経歴を並べるだけではなく、あなたの営業力や問題解決能力を具体的に伝える重要な機会です。

この記事でご紹介した6つの記載ポイントと効果的な構成法を参考に、あなたならではの強みをアピールする職務経歴書を作成してください。

私は30年間の不動産営業経験から言えることですが、結果を出せる営業マンは自分の実力を明確に伝えることができるものです。

職務経歴書は、あなたが結果を出せる営業マンであることを証明する最初のステップです。

自信を持って作成し、ぜひ希望の企業への転職を実現してください。

転職活動は自分の市場価値を再確認する良い機会でもあります。この機会を活かして、さらにステップアップしていただければ幸いです。

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